見城こうじのアケアカ千夜一夜

  • 記事タイトル
    見城こうじのアケアカ千夜一夜
  • 公開日
    2024年04月05日
  • 記事番号
    10983
  • ライター
    見城 こうじ

第20夜『ガッタンゴットン』(1982年・KONAMI)

パネルをスライドさせて機関車を誘導せよ!

『ガッタンゴットン』は15パズル(もしくは16パズル)などのオモチャをベースにした異色作です。迷路状のフィールドを汽車が移動しており、パネルを動かすことでうまく誘導して、すべてのチェックポイントを通過させるとステージクリアという遊びです。KONAMIはこのゲームののちにも、よく似た『キューブリック』なる製品をリリースしています。

汽車はボタンを押している間、加速します。プレイヤーが汽車を直接操作できるのは、この加速操作のみです。あとは線路に沿ってオート移動するので、線路パネルを入れ替えることで汽車を狙った方向に導きます。

個人的に当時あまり遊び込めなかったのですが、大好きなゲームです。今回は主に国内バージョン設定でプレイしました。

OP曲は“線路は続くよどこまでも”……だが線路はすぐに途切れる!

15パズルとは、フィールドに1パネル分のすき間があり、そのすき間を埋めるようにパネルを移動させていくことでパズルを完成させる遊びです。

このゲームでは、レバーを左右上下いずれかに入れると、その逆方向からパネルがすき間へ向かって移動します。実際に遊んでみるとすぐに理解できる直感的な操作システムです。操作性もキビキビしていてじつに心地よい。

ただ、当時も思いましたが、改めて遊んでみても手ごわいゲームです。慣れないうちは目の前の移動経路を確保するだけでも大変なのに、画面全体ににらみを利かせて敵の存在も意識する必要があります。

そもそも15パズル自体がパズルとしてガチなもので、盤面で遊んでも思考要素が強いのに、そこにリアルタイム性が加わっているわけです。これは手ごわい。

だから、ビデオゲームの世界では、15パズルとは似て非なる『キャンディクラッシュ』のようなスリーマッチ系パズルが主流になったともいえます。15パズルほどは厳格な思考がいらない上にリアルタイム性もない。

ビデオゲームならではのさまざまな工夫が光る

とはいえ、『ガッタンゴットン』の場合も、正解が一つしかないわけではなく、とにかくどんなルートであれ、指定された全チェックポイントを通過すればクリアできるので、反射神経があれば何とか力押しで進めることができるともいえます。

そこで、プレイヤーの自由度を制限するために、「×」パネルを増やすことで移動経路を制限していく辺りは、じつに当時のアーケードっぽい難易度の上げかたです。

また、優先して通過すると高ボーナスが得られる地点を作ることで、チャレンジ要素を増やすと同時に、これを取り逃すと敵が増えてさらに難しくなるフィーチャーが組み込まれています。「“手なり”でプレイするだけじゃおもしろくないでしょ」という制作側の声が聞こえてくるようです。

まったくの余談ですが、客車のない機関車部のみのちんまりした可愛らしい主人公キャラクターを見ていると、子どものころ見ていたドラマ『走れケー100』を思い出します。心を持った機関車ケー100(タイヤで車道を走る機関車)が主人公とともに日本を旅する夢いっぱいのストーリーでした。

では、また次回。

©Konami Digital Entertainment
Arcade Archives Series Produced by HAMSTER Co.

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