「イチハラ指揮者の“カレー”なる日々」第7回 *「クラシック」という言葉について勘違いが多いんダーッ! その2*

  • 記事タイトル
    「イチハラ指揮者の“カレー”なる日々」第7回 *「クラシック」という言葉について勘違いが多いんダーッ! その2*
  • 公開日
    2020年07月10日
  • 記事番号
    3212
  • ライター
    イチハラ指揮者

元気ですか! 元気があれば何でもできる。元気があればステップ3にも進める! 感染者は増えてるけど、もう戻せないからいいよね。ってバカヤローッ!(エラい人にジャーマンスープレックスを見舞う)
ちなみに私は東京都民ではございません。

前回は、「クラシック音楽」の定義とは? ということについてお話をいたしました。
結論を申し上げたのですが、まだわかりづらいという方が(私の脳内に)いらっしゃったというところから続きになります。
※前回のコラムは、こちらから。

8bit風のゲーム=ファミコンではない!

そうですねぇ、ゲーム音楽のコンサートを「クラシックコンサート」と言ってしまうのは、ゲームで言えば、8bit風のゲーム(*01)をプレイステーション5で発売するときに、「これはファミコンのゲームです!」と言ってしまうようなものなのですね。
「ファミコン風」であればまだよいのですが、「ファミコンです!」って、おかしいでしょそれは、となるわけです。

知ってて敢えて使うならまだいいのです。そこに企画の意図が込められているのなら。
でも、大部分、というかほぼ100%が「オーケストラだからクラシックでいいだらう」的な誤った考えで企画を通してしまっているように感じます。
一度、それでクレーム(?)があって名称変更したコンサートがあったような記憶があります(*02)
オーケストラを起用するなら、オーケストラに関する知識を最低限でも調べて好きになっていただきたいと私は思います。

クラシックという名声

ただ、あながち間違いというわけでもないのが難しいところです。
というのも、前述したように、多目的トイ……いえ、多岐に渡って適用できる言葉ですので、古くて良いもののことを「クラシック」と表現することは間違っておりません。
むしろ正しいです。クラシック映画、クラシックカー……その他たくさん。

例えば漫画だと、田河水泡さんや手塚治虫さんの作品などは、漫画のクラシックといって差し支えないでしょう。
ですが、「屈辱er大河原上」がクラシックな漫画かと言われると、違うと断言いたします。

ポピュラー音楽だとチャック・ベリーやビートルズはロックのクラシックと言ってよいと感じます。ですが、NEWSはクラシックだなんて言ったら、何言ってんだお前ふざけんなよ大丈夫か? と思われかねません。シブがき隊でも微妙だと思います。

坂本タクマ氏のコミック「屈辱er大河原上」。私以外に知っている人、持っている人に出会ったことがない。
https://mangahot.jp/site/works/c_R0029

だったら、ゲームも古いアーケードゲームやファミコンくらいの時代はクラシックでいいんじゃないのと言われると返答に窮するところです。
多分、いいと思います。というか、いいでしょう。
ですが、古ければ何でもクラシックでいいのかというと、それはまた違うだろうと思います。だって『キョロちゃんランド』がクラシックだと言われてもピンとこないし……。

ではどんなゲームがクラシックに該当するのか。
これまで数え切れないほどのゲームが生み出され、今もなお次々に生まれていますが、音楽と同じく、長い時を経て人類によるふるいにかけられて、なお輝き続ける作品がクラシックという名声を得ていくことになるのではないでしょうか。

それは時代が決めることであり、誰かが「これがクラシックです」と認定することはdeki
ない(*03)と言えるでしょう。

ですから、『パックマン』からまだ40年(*04)しか経っていないゲーム業界は、クラシックという名前を冠するにはまだ少し若いのかなとも思います(*05)

ですから、現時点では古いゲームの呼称については、「レトロゲーム」でいいのではないかなと思う次第です。

やっぱり違うと思う(無造作に伸びた髭は”Stay at home”の証だ)

話が若干逸れましたが、上記のように例えゲームとしてクラシックであっても、オーケストラのコンサート=クラシックコンサートというのは違うということを声を大にして言いたいのであります。
そういうのはシンプルに「コンサート」でいいと思いますし、ビジネス上、どうしてもコンサートタイトルに「オーケストラ」という単語を入れる必要があるなら「オーケストラコンサート」でいいんです!
と、そのオーケストラコンサートという言葉にも思うところがあり……。
これは、またいずれ機会があれば。

☆今回のまとめ
・オーケストラが演奏する=クラシックではない!
・オーケストラのコンサート=クラシックコンサートではない!

これを覚えた紳士淑女の皆様は、また一歩オーケストラ通に近づいたと言えましょう!

そんなわけで、今回は「クラシック」のお話でした。
それではまた次回! 読めばわかるさ、ありがとーっ!

脚注

脚注
01 そもそも「8bit風」とは一体何ぞやという議論もあるようですが、とりあえずここでは「ファミコンっぽい」的な意味で。
02 記憶がおぼろげなので、なかったらごめんなさい。それくらいの問題なのでは、という話ということで。
03 そういう認定機関のようなものが出てきたら、胡散臭いと思って近づかないのが吉。十中八九利権団体でしょう。危ない危ない。
04 パックマン40周年おめでとうございます。
05 個人的には、『パックマン』や『スーパーマリオブラザーズ』等に代表される、金字塔といえるゲームの数々は、ゲームのクラシックと言っていいと思っています。

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