「イチハラ指揮者の“カレー”なる日々」第6回 *「クラシック」という言葉について勘違いが多いんダーッ! その1*

  • 記事タイトル
    「イチハラ指揮者の“カレー”なる日々」第6回 *「クラシック」という言葉について勘違いが多いんダーッ! その1*
  • 公開日
    2020年07月03日
  • 記事番号
    3196
  • ライター
    市原雄亮

元気ですか! 元気があれば何でもできる。元気があれば東京アラートも有名無実になる! ご覧、レインボーブリッヂが赤く染まって、とても綺麗だヨ。って、バカヤローッ!(エラい人たちに延髄斬りを見舞う)

終わらない新型コロナウイルスの悪夢

前回、3月の頭から仕事が一切ありませんと書きましたが、6月もなくなり、4ヶ月無職が続いております。果たして7月に再開となるのかどうか……。
団体によっては、今年いっぱいの活動を停止というところも出てきました。


楽器奏者は生徒さんへのレッスン等の仕事はぼちぼち回復しつつあるようですが、指揮者にとってはまだまだ受難の時期が続きそうです。というか、4ヶ月もブランクが開いて、ちゃんと指揮できるんだろうかという不安が大きすぎて、そろそろ現実逃避したくなってきました。


指揮者を名乗り始めてから、こんなに棒を振らなかったのは初めてです。
早く指揮がしたいです。禁断症状です。う゛う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛。

在りし日の光景。こうした日常が奪われてしまいました。コロナ絶対撲殺すると誓ったのであります。

オーケストラ=クラシックではないのです

クラシックコンサートを開催? あたしゃ許さないよ!
などと誰かが言ったとか言わないとか噂されていますが、それはさておき。
私がこれまで出会ってきた間違い、誤解の中で最も多いと言って過言ではないもの。
それは「クラシック(*01)」という言葉の使い方であります。

「関東甲信越オーケストラがグルーヴ地獄Vの楽曲を演奏するクラシックコンサートを開催!」

「Goat Simulator、5周年記念クラシックコンサート!」

「舛添要一 朝までファミコンの楽曲をクラシックで堪能!」

「Atari2600のE.T.をクラシックに編曲!」

ふ、ふざけろっ!!! それはクラシックじゃない! クラシックじゃないんだ!!! と声を大にして言いたい気持ちが毎度心の底から湧いてまいります。

えっ、オーケストラが演奏するんだからクラシックでしょ? この人何言っちゃってんの? 草生える。

そう思った方、割といるのではないかと想像します。今、思いましたよね!? 違うんです! いいんです! よくない! ダメなんです!

クラシックとは

クラシックというのは、元々ラテン語の「階級」を示す言葉が元となっており、それが「最上級の」という意味合いとなり、そこから派生して、連綿と受け継がれてきた優れたもの。すなわち「古典」という意味を持つようになったようです。”classic”という字面からもわかるとおり、”class”から来た単語です。

では、音楽でクラシックというと、いつくらいまでの音楽を指すのでしょうか。
実は、前回お話した、オーケストラの成立の定義と同じく、どこまでがクラシックなのかということについては厳密な定義がなく、難しい話なのです。
何となくの合意はあるのですが、全員が完璧に一致していることはないでしょう。

例えば、ショスタコーヴィチ、ブリテンといった作曲家は1900年以降の生まれで、1970年代まで生きています。完全に20世紀の音楽家なのです。つい最近ですよね。
ですが、彼らの書いた曲はクラシックとして間違いなく認知されています。オーケストラに関わっている人で、彼らの曲はクラシックじゃないという人はいないでしょう。でも、たかだか数十年前まで存命だった人なのですよ。

また、クラシックとは音楽に限った用語ではなく、戯曲、小説、映画、漫画……と多目的トイ……間違えました、多岐にわたって適用が可能な単語です。ですから、クラシック=オーケストラ音楽ではないわけで、「クラシック音楽」というのが正しい(*02)ということになります。

なお、古くて現代にまで残っていても、日本の音楽だったり、ポリネシアの音楽だったり、ワイハのガクオンだったりはクラシック音楽には分類されません。西洋の様式で書かれた音楽であることも要件であると言ってよいでしょう。

そんなわけで、あまり難しく考えず、クラシック音楽とは「西洋の様式で」「オーケストラをはじめとする器楽や声楽向けに書かれた」「古くて」「現代まで残っている」「大変優れた」音楽であると考えておけば、概ね道を踏み外すことはないかと思います。

以上のことを踏まえますと、新作ゲームの音楽をオーケストラで演奏するコンサートのことを「クラシックコンサート」と呼ぶのは誤りと言わざるを得ないということがおわかりいただけるのではないでしょうか。え、わからない? うーん、困りましたね。

クラシックの巨匠たち。左からハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、そしてショスタコーヴィチ(20世紀だから写真がある!)。

今回はここまで! 次回に続く! 読めばわかるさ、ありがとーっ!

脚注   [ + ]

01. クラッシクでもクラッシックでもないので注意。
02. さらに言うと、「クラシック音楽」で通じるのはおそらく日本だけで、英語圏では”classical music”となる。”classic music”とは言わない。iTunesとかのデフォルトのタグも”classical”になっているはず。

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