タイトー『オペレーションウルフ』発掘報告書 後編
よーし、集合したようだな。点呼をとるッ!!
脱落者はいないようだ、よろしい。さて、改めて言おう、わたしが発掘隊長のぱぱら大佐だ。
今回はタイトー『オペレーションウルフ』(以後『オペウル』と表記)発掘報告書の後編を送る。
この発掘報告書は、かつての名作古典ゲームのゲームデザイン技法を調査し、現代のゲームデザインに活かそうというシリーズ連載になっている。
前編、中編ではビジュアル演出関係のツボについて調査をした。すごい技法満載だったな。
そしてこの後編では、いよいよゲームデザインのツボ調査に突入する。
なお、『オペウル』のゲーム内容説明などは前編にまとめてあるので、まだ読んでない、このゲームをよく知らない、という隊員諸君は目を通しておいてくれ。
では出発する。気を付けッー! 進め!
<発掘品目録>
例によって今回紹介するゲームのツボたちを一覧にしておいた。
今回は後編だぞ。
これも毎回言ってることだけど、ゲームプランナーはこういうまとめ書類を作り、仕様の全体像をわかりやすくチームに伝わるようにすることも大事な仕事のうちだ。
-前編- |
■スタートシーケンス演出のツボ |
ツボNo.1 「気分がアガるアトラクトデモでゲームに誘導」 ツボNo.2 「いちばん最初に操作説明」 ツボNo.3 「すばやくストーリー状況と目的を理解させる」 |
■ビジュアル技法のツボ |
ツボNo.4 「1枚絵に魂をこめる」 |
-中編- |
■ビジュアル技法のツボ |
ツボNo.5 「アニメーションのコマ飛ばし」 ツボNo.6 「レベル・オブ・ディテール(LOD)でコストと表現にメリハリ」 |
■ゲームデザインのツボ |
ツボNo.7 「ゲーム情報を一箇所にまとめる」 |
-後編- |
■ゲームデザインのツボ |
ツボNo.8 「連射で的に当てさせる」 ツボNo.9 「凝った敵出現のレベルデザイン」 ツボNo.10 「ステージセレクトにルート戦略」 ツボNo.11 「ゲームプレイにピリッとアクセント」 |
今回の後編のツボは4つだ。それぞれ紹介していくぞ!
<『オペレーションウルフ』のツボ>
ツボNo.8 「連射で的に当てさせる」
ガンシューの本質は「モグラ叩き」だ。
出てきたやつを叩く! 叩く! ぶっ叩く!
そいつがモグラだろうがワニだろうが、敵兵士だろうが、だ。
武器がハンマーでも銃弾でも同じことだぜ。
出てきた奴はすべて叩いてやる。ジャングルでも畑でも、俺がいるところが戦場だ!
そういった殺意を発動させるのが「モグラ叩き」なのである。
ガンシューとは「モグラ叩き」を変形発展させたゲームということを理解してもらえただろうか。
かつての「モグラ叩き」では単発でしか叩けなかった。でかいハンマーだからな。
原始的なガンシューも単発ばかりだ。
だがそれが『オペウル』で大きく発展した。すごい勢いで連射で叩けるように進化した。何これ楽しい!
へたな鉄砲も数撃ちゃ当たる方式。ここがツボだ。
意地悪しないで、とにかく的に当てさせようというおもてなし。
優しい狼だ。そういうところだぞ。
話は逸れるが、実は2Dのシューティングゲームも似たような歴史を辿っている。
初期のガンシューと同じで、シューティングも最初は単発のショットを狙って当てるゲームだった。
『スペースインベーダー』や『ギャラクシアン』だな。
宇宙でも「モグラ叩き」か。
しかもあいつら動くし当たんねー、ってなってたんす。
しばらく経って、シューティングは数発の連射できるようになる。
『ゼビウス』『ギャラガ』『ムーンクレスタ』などだね。
ちょっとは当たるようになった。
時は流れて現代。
何じゃこりゃあという勢いでめちゃくちゃ連射する。
もぐらどもも進化してめちゃくちゃな弾幕投げて反撃してくる。
ずいぶん物騒な世の中になったものだ。画面には弾しかない。これが現代の戦争だ。
これからはガンシューも弾幕の時代になるのかもしれないな。
ツボNo.9 「凝った敵出現のレベルデザイン」
「モグラ叩き」と書いた。
モグラにしてもワニにしても、おもしろく作るのにはちゃんと考えないといけなかったりする。
それが初歩的なレベルデザインよ。
モグラ叩きのレベルデザイン
説明しよう。
単に最初から最後までランダムでモグラが顔を出すゲーム、これだと変化がない。
一本調子で単調なままゲームが始まりゲームが終わる。退屈である。
ただの作業っぽくなるからな。あくびが出るぜ。
いくら一口目が美味しくても、同じ味を食べ続けるとつらくなる。味変が必要だ。
なので基本的な作りかたはこうなる。
「最初ちょろちょろ中ぱっぱ、最後のほうはハイテンポ。同時顔出しチャンスタイムからの~ラストのフィナーレへ」。
最初は簡単に叩いていけるが、調子に乗ったとこでだんだん難しくなり、最後は忙しくなりすぎてプレイヤーを軽いパニックにいざない、最後はカタルシスで締める。
かように変化に富んだ展開でプレイヤーの気持ちを揺らす。
これすなわちレベルデザインの基礎である。
『オペウル』ではどうなっているか
『オペウル』の特徴として、まず敵兵士の出現演出がバリエーションに富み、しかも驚きがあることが挙げられる。
出現演出にバリエーションを持たせるのは、物理的な人形ターゲットを使う。
一般的な「モグラ叩き」にはできない表現でもある。
『オペウル』のターゲット出現。
ふつうに左右の画面外から歩いたり走ってくるやつが基本だけど、ほかにもただの背景かと思われた建物の裏やドアから敵兵が突然出てきたりして、けっこうビビる。
そこから来んのかよ! 聞いてねえよ!
そのへんの置物や屋根の向こうからひょっこり顔を出すやつもおる。
あと上空からパラシュートで降ってくるやつとか。いろいろだ。
目の前の穴ぼこの前でハンマー持ってただ待ち構えてればいい「モグラ叩き」ゲームとは違う。
まったく油断ならねえやつらだ。
さらに敵兵もバカばかりじゃない。「出落ちやられ」を避けるため、登場と同時にゴロゴロと身を転がす本格的コンバットムーブをかましてくるプロのザコたちもいる。
いつ、どこから敵がやってくるかわからない、まるで気が抜けないこの緊張感。
ふふふ、このヒリヒリする感覚……いいぞこれだ、これが戦場だ。わたしは帰ってきた!
そうこうしてる内にヘリや装甲車などもやってくる。
調子に乗ってたらヤバいやつ出てくるのは定番のハリウッド展開だな。
そのうち防弾ベストを着た屈強なソ連軍兵士っぽいアクション俳優のドル……じゃなかったライバル的強キャラもやってくる。
こいつらは耐久力があるので、地上のザコをまず倒すか、耐久力のあるやつを優先するかの二択も突きつけられ、ゲーム的にもおもしろくなってくる。
おわかりいただけただろうか。
基本ゲームシステムを変えずにその上に乗ったまま、ステージ内での設定によりプレイの緩急を実現する手法がレベルデザインだ。
単に難易度を変えるだけにとどまらない。
変化の工夫で味付けを変え、ゲームプレイの流れとおもしろさを演出していく。
『オペウル』の場合、残念ながらステージ形状で変化を出しづらい。
ハード性能的に背景画面をスクロールするぐらいしかできないからな。
なのでレベルデザインはほぼ敵の出現のさせかただけで実現せねばならなかった。
機械部品だけで構成される「モグラ叩き」と似たような事情というわけです。
ゲームを作るな戦場を作れ
そして、何よりも重要なのは、その味の変化の目的が「戦場っぽさの再現」に向かって統一されてることで、そこに真髄があるのだ。
これまで挙げた『オペウル』のレベルデザインも、ゲームとしておもしろくというよりも、戦場としてリアルっぽく、ということに主眼が置かれた結果なのだと読み取れる。
ふふふ……このヒリヒリしたリアルな感覚……これが生きてるってことだ、これが戦場だ!!
単にゲームの都合だったりゲームっぽく作ることを目的としない。
ゲームであることよりも、まず戦場であることを選んだ、そんなレベルデザインとゲームデザインになっているのが『オペウル』なのである。
かっこいい。そこにシビれる憧れるッ! なんせ作り手がミリタリーマニアだからね!
ゲームであることよりも電車であることのほうを優先させて大ヒットした『電車でGO!』の例もある、と言えばわかりやすいだろうか。タイトーは、ほんとにこういうの得意だな!
あえてゲームを作らない、それが本物のリアリティをまず醸し出す。
その後に、まあゲームとしてはこんな感じでいいだろうってまとめる、という順番だ。
これは大変示唆に富んだ発見といえよう。
『オペウル』が世界中でヒットしたのもこれでわかるだろう。
みんなゲームをやりたいんじゃなくて、戦場でぶっ放したいんだよ!!
レベルデザイン探究の道
レベルデザインという概念は、現代のゲームでは(もちろんガンシューでも)、すでに当たり前のものとして重要視されている。
『オペウル』にあるものは原初のレベルデザインだが、この時代にこれだけの表現幅と完成度を見せていることはじつに驚くべきことだ。
ほとんどオーパーツといって過言ではない。
また使われている細かな演出手法など、参考に値するものも多い。
今後もより深い研究に精進せねばなるまいな。
ツボNo.10 「ステージセレクトにルート戦略」
『オペウル』は全6ステージで構成されている。
そのうち最初からプレイできるのは4ステージで、第5ステージと第6ステージ(最終ステージ)は、ゲームが進むとプレイできるようになる。
ラス前とオーラスってことだな。
ゲーム開始後、初期4ステージ中から好きな順でステージを選択してプレイする。
各ステージにはストーリー上の目的が設定されており、クリアするとストーリー目的が達成されたことになり、各ストーリー結果に対応した変化が戦場に起こる。
つまり実際のゲーム上でもそのボーナス効果が反映されることになる。
各ステージのストーリーとクリア後ボーナス効果を下表にまとめておく。
基本4ステージ(A~Dステージは順不同に選択可)
# | ステージ名 | 目的 | ストーリー設定 | クリア後ボーナス効果 |
A | 【通信所】 | <妨害> | 通信アンテナを爆破し敵の増援を防ぐ | 以降の敵の出現数が緩和される |
B | 【集落】 | <休息> | 集落を解放、村娘の手当をうけダメージを回復する | ダメージが大幅回復 以降回復アイテムが出やすくなる |
C | 【弾薬庫】 | <弾薬> | 弾薬庫を襲撃し弾薬を補給 | 弾薬が大量に補給される |
D | 【ジャングル】 | <情報> | 敵から収容所の位置を聞き出す | 第5ステージが選択可能になる |
第5ステージ、最終ステージ(第5ステージ→最終ステージの順行選択)
5 | 【収容所】 | <目的> | 収容所から人質を救出する | 最終ステージが選択可能になる |
6 | 【空港】 | <脱出> | 人質を輸送機に乗せ脱出する | 君こそ本当のプロだ!と褒められる |
ちなみにゲームクリアの最短ルートは「D【ジャングル】→5【収容所】→6【空港】」の3手! となります。
さて、この特徴的なステージ選択方式にはいくつかのメリットがあります。
順に説明するよ。
戦略的ステージ選択
ステージ選択とはつまり、クリア後ボーナス効果をどの順に取得するか、という選択に等しい。
次の戦場をただ何となく選ぶ、そんなやつは手練れの戦士とはいえん。
今すぐ国へ帰るんだな。
自分のプレイスタイルやゲーム進行状況(ダメージや残り弾薬など)を都度考慮し、クリア後ボーナス効果を有効に活用するタイミングを見極める。
そのように戦略的にステージ選択を楽しんでこそ歴戦の戦士。
恐るべきキリングマシーンといえる。
最短クリアを目指すなら、前述した【ジャングル】【収容所】【空港】の最短ルート。
ハイスコアを狙うなら、ゲームオーバーのリスクをなるべく抑え、余裕を持ちつつ全ステージを通過する立ち回り。
このように、自分のやりたいプレイに合わせ、戦略的に作戦を組み立てて任務を遂行するのが『オペウル』のステージ選択である。
さあ選ぶんだな、どの地獄でも。
オリジナルなストーリー組み立てに酔う
『オペウル』のストーリーは単純だ。
来た、助けた、去った。これだけ。
長々としたストーリー描写はないが、代わりに各ステージクリア後にはストーリーを想起させるシチュエーションビジュアルがある。
各ステージに、それぞれ独立したエピソード形式でストーリーが設定されているカタチだ。
結果として、各エピソードが語られる順はステージ選択と同期して変化する。
つまりですな、自分ならではのステージ選択がそのまま自分ならではのストーリー展開になるのだ。
もちろんステージ選択はゲームプレイの都合で選ぶのだが、その選択にはストーリー展開が伴い、まさしく一体化している。
そして具体的にはこんな例で展開するかんじ。
パターン例1:
「俺は戦場に降り立つと……、手始めに敵の弾薬庫へと向かい、充分な弾薬を手に入れた。
その後俺は、敵に占拠されている集落を通りかかる。
俺はやむなく貴重な弾薬を使って敵を一掃し、村を解放した。
見過ごしてはおけなかった。同情心か?
戦場に生きるには、どうやら俺は甘すぎるようだ……。
傷の手当てをしてもらい、次なる戦いへと挑む……。」
パターン例2:
「俺は戦場に降り立つと……、ジャングルに隠れた敵部隊を急襲し勝利した。
思いのほか手強いやつらだったな。
捕らえた敵兵士を絞り上げ、早速にも収容所の位置を聞き出すことに成功。
だが焦りは禁物だ。
救出を確実にするため、敵の指揮系統を混乱させるのだ。
慎重な俺は、敵通信施設の破壊に向かうことにした……。」
な、かっこいいだろ。
『オペウル』のストーリー説明が最低限だからこそ、逆に想像力を働かせやすい。
だから妄想の脳内ストーリー展開が捗るだろ!
そしてここからが重要なのだが、これはいわゆるストーリー分岐やマルチストーリーとは文脈が異なっていることに注目だ。
上のように例文に書き出すと長いが、実際のプレイでも実際にこのように考えて、実際に進むステージを選択しているのだ。
自分の都度都度のガチ選択によって、しかも自分自身の体験として自分だけの全体ストーリーが組み上がる。
プレイの結果として単にストーリーが分かれていくスタイルとは趣を異にするのであった。
押しつけのステージ展開とは違うのだ。どっちかに優劣があるわけじゃないんだけど。
え? そんな妄想プレイとか考えたこともない? えー、単に淡々とプレイするだけ?
自分自身では気づいてないかもしれませんが、自覚的に盛ったりしてないだけで自分の思考としてはちゃんとストーリー展開になっているはずだよ。
いや『オペウル』って、ゲームより戦場を優先させたなりきりゲームってさっき言ったじゃん! やろうよ。おまえが狼なんだよ!! 猿のように妄想プレイするんだよ!!
ストーリー分岐やマルチストーリーとは手法が異なる
ストーリー分岐やマルチストーリーがあるのは、基本的にリピートプレイが目的だ。
何度でも遊べる! ってやつ。
ステージを大量に用意し、1プレイではその一部分だけしか出ない。
すべてのコンテンツを見るためには繰り返し遊ぶ必要がある。
そうすることでゲーム寿命を伸ばす。
ストーリー分岐は、基本的にこのような目的を持つ。
しかし『オペウル』に用意されたステージ数は6つだけ。
最小限だ。
大量にステージを用意して……、ってのとはかなり違う。
それでいてステージのプレイ順が選べることで、イメージよりも多くの組み合わせルートが生み出される。
前述したゲーム的な戦略選択要素とともに、ルート順により異なる脳内ストーリーも捗る。
最低限のステージ数で多くのゲーム的ストーリー的なバリエーションを作り出す。
コンテンツを増やすことでリピートプレイに引き込むのではなく、ルート取りを増やす手法で飽きや寿命問題を解決している。
これ、すばらしい仕組みだよね。
まあマシンガンぶっぱなすカ・イ・カ・ンがやみつきで、それが繰り返しプレイの一番の動機ってのはあるけど。
それでも一本道進行よりは全然飽きさせない工夫として機能しているよ。
ツボNo.11 「ゲームプレイにピリッとアクセント」
最後に、ゲームがダレないための各種の工夫や効果をみてみよう。
アクシデント
ステージ選択後、さて戦闘に向かうぞというところで「移動中に敵に発見された!」というイベントが突発的に発生することがある。
それが「アクシデントステージ」だ。
固定背景画面に敵がぽこぽこ出てくるので、撃って倒す。
昔のゲームの文法でいえば「ボーナスステージ」というやつですね。だがこの戦場にボーナスチャンスなどというヌルいものはない!
敵はちゃんと反撃してくるし、撃たれるとダメージにもなる。撃つと弾丸も減る。
他のステージとちがって画面がスクロールしないだけで、ごくガチの戦闘だ。
一瞬たりとも気が抜けないぜ……。
ステージ選択してクリアする、その繰り返しで緊張感がややダレたところに、変化球をぶっこんで目を覚まさせるのがこのアクシデントシステムで、しかもこれは戦場の気の抜けなさを表現しているかっこうだ。
「アクシデントがアクセント!」「アクセントにアクシデント!」ですってさ~!
……何をしている。ここは笑うところだぞ。おいそこのおまえ、笑ってみろ!
単調な繰り返しばかりにならないよう、ちょっとしたブレイクを入れる。
緊張感を保ったり逆にリラックスさせたりする。
ゲームシステムを最大限利用して制作コストを抑えつつ、緩急や変化をつけて飽きさせない。
という、じつに心配りの効いたゲームデザインテクニックである。まったく勉強になるな。
人質救出
『オペウル』の最後2ステージは人質救出ミッションだ。
終盤における大きなゲーム的変化である。盛り上がるね!
人質は画面を横切ってヨロヨロと逃げているので、人質を撃たないよう敵を倒していく。
間違って人質を撃つと簡単に死んでしまうので緊張感もひとしおだ。
ゲームが最後まで一本調子にならないよう、人質救出が終盤ステージのアクセントとして機能している。
ただこれ、けっこう大きなゲームプレイの変化でもあるよね。
そんな変化をしても、プレイヤーは混乱することもなく自然に受け入れ対応できちゃう。
それがなぜなのか、その理由に注目してみよう。
自然に救出プレイの練習をしている
『オペウル』が悪魔的に秀逸なのは、じつはゲーム序盤から人質救出の予行演習がさりげなく入っていた点にある。
な、なんだってー!! 画面を横切ってく民間人がそれです。
人質とは違って誤射しても小さなペナルティで済むし、死んでしまうこともない。
人質を避けて戦うための、よき練習台と布石になっていたのである。
追加ルールが初見で理解できる
そのため、唐突に人質が出てきても、これ撃ったらアカンやつ! てルール理解がすでにできている。
ゲーム序盤からあらかじめ慣らしておいてた効果ですね。
まあ人質は見た目が捕虜っぽいし敵キャラには見えないってのもあるけど。
何てこった、序盤から伏線が張られてたのか。
まさかときどき出てくるビキニのおねーさんたちが人質救出の訓練になっていたとはな……。
実にエレガントなゲームデザインで感心する。ついでに目の保養にもなる。
ほんと『オペウル』は参考になるぜ~~フゥーハハハー!
おわりに
以上が『オペレーションウルフ』の発掘報告書である。
ここまで付き合ってくれた諸君らには感謝する。よくやった。
『オペウル』はガンシューティングというジャンルを確立させた名作古典だ。
前人未踏の新ジャンルが確立するには、そうなるだけの理由が必ずある。
あるジャンルのタイトルを作るにあたって、直近のゲームだけを見よう見まねだけで参考にするのは、コピーの繰り返しのように劣化していく危険があることを忘れてはならない。
そうならないよう、原典を研究調査することにより、キーとなる仕様の効果や成り立ちといった本質を理解する。
その上で進化発展させていくことが肝要なのだ。よく覚えておいてほしい。
……ぐふっ、おれはもう助からん。立派な戦士になれ。そして良いゲームを作るんだ。さあ行け!
一足先にヴァルハラで待つ。
次回の発掘調査をお楽しみに!
©TAITO CORPORATION 1987 ALL RIGHTS RESERVED.