餅月あんこのゲーセンに行きたい!
目次
第40回 橋本新義さんと話したい!(前編)
前回のケイブ広報・したっぱさん(前編・後編)回に引き続き、今度はゲストインタビュアーを務めてくださった、シューティングゲーム(特にケイブさん作品)が大好きという、編集者&ライターの橋本新義さんに、したっぱさんにもおつきあいいただいて、お話をうかがいたいと思います!
お話に参加していただいたお二人
橋本新義さん
Engadget日本版などで執筆されている、パソコンやITガジェットなどの記事を扱うライター兼編集者さん。
シューティングゲーム、特にケイブさん作品のファンで、「シューティングゲームサイド」ではケイブのIKDさん(池田恒基さん)インタビューも担当された。
Twitter
したっぱさん
ケイブさんの広報で、非公式放送「ケイブるてれび」レギュラーでおなじみの、よく和服を着ている女子。
男の子と女の子のママのシングルマザー。シューティングゲームが好き。
Twitter
「免許ゲー」
――― ところで新義さんのお話とかうかがわせていただいて大丈夫でしょうか!
あ、大丈夫ですよ、全然。というか、いいんでしょうか?(笑)
――― もう編集部には言ってあります(笑)。したっぱさんもお時間大丈夫でしょうか?
私は大丈夫です(笑)。
よかった! 色々おもしろい話はいっぱいありますよ。「グラディウス二人羽織で喧嘩の話」とか。
……!? 何ですかそれ~!?
『グラディウス』って、私は中学1年生ぐらいでプレイしたんですが、すごく操作が難しいゲームだったんですよ。っていうのは、敵に注目していると、下のパワーアップゲージ……今なら覚えちゃっていて意識しないでも操作できるんですが、その頃はよくわからなくて思うようにパワーアップができなくて、アイテムを普通に取っていくと、バリアがほしいのに通過しちゃってスピードに戻る、とかいうのが、よくあったんです。
――― あ~! なるほど!
それで「これは難しい、こんなゲームはできない!」となって、じゃあどうするかというと、当時の頃の僕らが考えたのは、二人羽織なんですよ(笑)。要するにショットとミサイルだけ操作して、パワーアップを押す専任をひとりつける(笑)。
(笑)
――― すご~い!
そういう感じでやってたんですけど、中学なりたてとか小学生なので、悪いことを考えるんですよ。『グラディウス』って自機が3機いるんですが、パワーアップをお願いした子に、最後の1機だけやらせてあげる、って、交換条件でやってもらうんです。それか、次にその子がやるときに自分がパワーアップ担当になるとか。それで、(自分が早くプレイしたくて)ひたすら連打してスピードだけをひたすら上げる奴とか出てくるんです。
――― 約束を守らないんですね。
そうそう。重要な場面でダブルを取って、レーザーからダブルになっちゃうとか。
はいはい(笑)。
で、だいたい大変なこと(ケンカ)になるわけです(笑)。で、悔しいので結局パワーアップを自分でできるように覚えたわけですが(笑)。それが「グラディウス二人羽織プレイ」です。
あははは。
ケイブさんの『ぐわんげ』も、ひとつのレバーで2キャラ切り替えて操作するんですけど、「これ運転免許要るよね」ってくらい難しくて、「免許ゲー」って言ったりするんです(笑)。
まさに「免許ゲー」ですね。私もできないもん(笑)。
――― へぇぇ~、そんな難しいゲームが!
難しいですよね~。つまり、『グラディウス』って、元祖「免許ゲー」なんですよね。
――― へぇ~!
あと、『グラディウス』はパワーアップが一番内側のボタンで、真ん中がショットボタン、右側がミサイルなんですけど、当時の他の多くのゲームは、弾を撃つボタンはだいたい内側で、みんなそう思い込んでるので、だいたい初めてのプレイのときには、みんな一生懸命内側のパワーアップボタンを押してしまっているので弾が出なくて(笑)。子どもだからあんまり説明書を読まないんですよね。で、「弾が出ない! 何でだろう?」って説明書をよく読んで、「パワーアップ? 何このゲーム!」って焦ったりしたんです(笑)。当時小学生だった僕らには、本当に難しいゲームだったんです。
生活の中のケイブ
――― 新義さんのお生まれの年は何年ですか?
1971年で、もう50歳です。信長さんだったら……。
何でそこで信長(笑)。
――― (笑)信長さんに置き換えないで!
ほら、「人生50年」って言ったら信長さんなので(笑)。前回のしたっぱさんのお話で、習い事の帰りにゲームセンターに寄るという話がありましたが、私も当時そろばん塾に行ってて、それでゲームセンター通いを始めた感じですね。『ギャラガ』とか、そのあたりから、アーケードゲームはずっと遊んでますね。
――― メインのお仕事は、PC系のライターさんなんですよね。
はい。矢崎さん(矢崎飛鳥さんが編集長)のエンガジェットを中心に、新しいスマートフォンの記事を書いたり、製品のレビューなどをしたりしています。
――― なるほど~。それで、プライベートでシューティングゲームがすごくお好きと。
そうです。新しいタイトルも遊ぶんですけど、ケイブさんのタイトルが好きでよく遊んでいて。
――― Twitterのプロフィールにも「ケイブ脳」って書いてありますよね。
そうです(笑)。ケイブさんってね、プレイヤーからすると独特のツッコミどころがあって。
(笑)
――― ツッコミどころ。
これは自分がインタビューしたときにもあったんですけど、「ケイブ語」っていうのがありまして。
ありますね、ケイブ語。
――― ???
たとえば『ゴシックは魔法乙女』の、「は」って何? っていう。私も以前インタビューでお聞きしたことがあるんですけど、最初は『ゴシック魔法乙女』というタイトルを考えていたと池田さん(ケイブCOOの「IKD」こと池田恒基さん)がおっしゃってましたが、それだと引っ掛かりがない、と。フックを求めて、「は」をつけよう、ということで、『ゴシックは魔法乙女』になったとおっしゃってました。
――― 確かに不思議なタイトルですよね。気になる感じの。
そういうところをツッコミながら、普段の生活にもケイブ的なものを探してしまうという。
(笑)
――― 普段の生活に!
リリースから年数が経ったゲームを置いてくれるゲーセンのありがたさ
――― 思い出のゲームや、すごくハマったゲームというと何でしょうか?
思い出のゲームというと、タイトーさんから1990年にリリースされた『ガンフロンティア』っていう、すごく難しいゲームなんですけど、それをずーっと今でも、ゲームセンターにたまに入るとやっています。
――― へぇ~!
あと、ケイブさん作品で、『怒首領蜂大復活』。
あっ、ありがとうございます!
『怒首領蜂』の中では『大復活』がものすごい好きで。あと『ケツイ』ですね。ずっと続けてプレイしてるんですけど、一時期アーケードゲーム全般のプレイが散発的になったときがあって。それを復帰させてくれたのが『ケツイ』なんです。リリース当時にリアルタイムでプレイしてたんですけど、攻略が詰まってしまって。転機になったのは、秋葉原のタイトーさんの「Hey」です。「ケイブ祭り」の会場にもなっているゲームセンターですが、シューターのコミュニティ的にはゲームセンターを超えた場所でもあるんです。
――― ゲームセンターを超えた場所!
そのHeyさんが、今でもケイブさんの『ケツイ』や『怒首領蜂大往生』っていう、20年くらい前にリリースされたゲームも置いてくださってるんです。
うんうん。
当時のゲームセンターのゲームのほとんどは、長くても半年くらいで、新作が出ると他のゲームに入れ替わってしまうんですよ。特に『ケツイ』が新作だったころは顕著でして。なので攻略が時間勝負、というところがあって、それで攻略が進まなくなってしまっていたんです。でもHeyさんのようなゲームセンターがあるおかげで、当時リアルタイムでやってた『ケツイ』をあきらめなくていいんだなと。自分のペースで攻略を続けることができる、古いゲームや新しいゲームであることを気にしなくていいところがあるんだ、と。
――― ああ~、なるほど。
それで落ち着いてプレイできるようになって。慣れてないのもあったんですが、ニセ情報などにも惑わされて、1年ぐらいかかったかな、何とか1周はクリアできるようになりました。
――― ニセ情報とかあるんですか?
当時、したっぱさんがまだケイブさんにいらっしゃらなかった頃だと思うんですが、『ケツイ』って、3面に大きな軍艦が出てきて、うまく倒すと1UPが取れるところがあるんです。そこで1機増やすっていうのが、攻略としてすごく重要になるんです。増やせるところで全部増やしても1周だと6機くらいで、そのうちの1機なので、取れるかどうかで大違いなんですね。そこで、出しかたが公式でも発表されていたんですけど、「全部の砲台を壊してから弱点を攻撃すると1UPが出る」というものだったんです。
――― ふむふむ。
それは条件としては間違ってないんですけど、実際にやってみると、壊せるところを出てきた順番のままに壊してしまうと、特定の場所を壊すと、他の砲台も一緒に壊れちゃうところがあるんです。
ありますあります(笑)。
それを普通に壊しちゃうと、1UPが出ないんですよね。要するに途中で1回攻撃をやめて、先に壊しておかないといけない砲台があるんですよ。
(うなずく)。
――― ひぇ~、難しい~!
当時ね、みんな公式情報をコピペしてて、「すべての砲台を壊すと1UPが出ます」っていう情報だけが出回っていて。それで半年以上迷ってました……、上手い人のプレイを見ててもわかりにくいんですよ。それで「似たようなことをやってるのに、何で1UP出ないんだろう」って8か月ぐらい悩み続けて。
――― へぇ~!
それで『ケツイ』のハイスコアを獲ってるような上手い人の攻略サイトを見たら、「ココは1回見逃さないとダメです」っていうことが書いてあって、「あぁ~、そういうことだったか~!」って、やっとできるようになったんです(笑)。というわけで、公式の簡単な説明をみんながコピペしてるから、わからない人にはまずわからない、ということになってたんです。あれはプレイヤーとして個人的にはまだ恨みが残っています(笑)。
――― アハハハハ!
(笑)ゲーセンでプレイしてたら、たまらないですよね……!
ケイブさんの公式はいいんですが、コピペしてた奴らめ~!(笑)って。それがライターとしての下地につながってたりしますね。自分が苦労した経験があるので、情報を省略して、誤解されることがないように記事を書こう、と。
なるほど……! 私もM2ショットトリガーズ版の『ケツイ』が出てから攻略を始めて、「何で1UP出ないんだろう」って。
なりますよね(笑)。
なって、で、放送で「なんでなんで?」って言ってたら、視聴者さんからのコメントで「その砲台を壊しちゃうとこっちが爆発して壊れたことになって、自分が壊したことになってないからダメなんすよ」って教えてもらって。「何だよコレ~! 誰だよコレ作ったの~! 弊社だわ……。」って(笑)。で、立ち回りかたを変えたら出るようになって。
――― 難しい~! へぇ~(笑)。
これは教えてもらわなかったらわかんなかった、ってなりましたね。当時ゲーセンで遊んでた人はたまったもんじゃなかっただろうなと(苦笑)。
爆破の見た目は同じなので、その違いに気づくのも相当難しいですしね(笑)。今だと『ケイブるてれび』さんなんかで情報を伝えてくれるので。なので『ケツイ』って、ケイブさんのゲームの中でも、ひとつ情報があるとガラッと攻略の仕方が変わるような、情報がないとわからないこともあるゲームで。そのへんに苦労しましたね、自分は。学生の頃はまわりに上手い人もあまりいなくて攻略の参考にすることもできなくて、ゲーセンから撤去されるまでの戦いだったので、当時は無理だったなぁと。長く入れてくれてる、いまのHeyさんやミカドさんとか、そういうゲーセンがあって、やっとクリアできる、というのがあります。
そうなんですね~、なるほど。
今、だから、プレイヤーとしてはすごく幸せなんですよ(笑)。
ありがたいですよね、ああいう場所は。私もケイブに入ってから、ちゃんとケイブのシューティングを始めたといっていいクチなので(※餅月注:とても高いレベルの話をしている気がします)。グッズのデザインだったりイベントをやるにあたり、自分の会社のタイトルをまだ充分によく理解していないな、これはまずい、と思って、仕事帰りに新宿南口のタイトーステーションさんは会社から歩いて行けるのでそこに行ったり、Heyさんに行ったりして。やっぱりHeyさんはだいたい弊社のタイトルは常時揃ってるのですごくありがたくて。
うんうん。
「このゲームのグッズは何を作ったらいいんだろう」って悩んだときなんかは、とりあえずHeyさんに行ってひととおりプレイして、全部クリアできるとは限らないんですが、「このゲームはここがおもしろいところだな」「ここがウケてるんだろうな」って体感して、仕事に活かせるということろがあったので、私にとってそういうゲーセンの存在は、すごく仕事と密接ですね。あってくれてよかった。後追いでケイブ社員がそんなふうに使ってるとは思わないでしょうけど(笑)。
いやいやいや。いい話だと思いますよ。そういう構図もありますよね。社員のかたがその会社のゲームを全部知ってるというわけではないですからね。
そうなんですよね。弊社も今はスマホの『ゴシックは魔法乙女』メインでやってるので、過去の弊社のゲームを知ってる人と知らない人の知識量のバラつきがありますし。だから後から過去の作品を知りたい、ってなったときに、私たちに話を聞きに来てくれる社員もいるんですが、自分で情報を取りに行きたい、っていう人たちがいたときに、「Heyさんとかミカドさんにあるよ」ってひとこと言ってあげれば自分たちで何とかなる、みたいなところもあるので。
シューティングゲームガチ勢とシューティングゲーム老舗の広報さん(あとシューティングゲーム初心者の漫画家)によるアツいシューティングゲームトーク、後編に続きます!
* ケイブさんよりお知らせ *
『怒首領蜂』といえば、シリーズ作品の『怒首領蜂大復活』がNintendo Switchに登場しました!
移植開発を担当したLiveWireさんによる公式サイトはこちら。
©CAVE Interactive CO.,LTD.