『カプコンアーケードスタジアム』レジェンドクリエイターのおススメするタイトルがこちら!

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    『カプコンアーケードスタジアム』レジェンドクリエイターのおススメするタイトルがこちら!
  • 公開日
    2021年03月19日
  • 記事番号
    4963
  • ライター
    IGCCメディア編集部

『カプコンアーケードスタジアム』応援企画も、ついに千秋楽を迎えることとなりました。
今回はラストを飾るのに相応しい企画ということで、ビデオゲームのレジェンドクリエイターのかたがたに、思い入れの深いタイトルをピックアップ、忖度なしで語っていただきました。

ぱぱら快刀(海道賢仁)

ゲームデザイナー/ディレクター。アーケード、コンシューマからスマホゲームまで、作品多数。
Twitter: https://twitter.com/kenji_kaido blog: https://kenjikaido.blogspot.com/
  

『戦場の狼』

当時ゲーセンでハマって熱中していた思い出のゲームである。プレイヤーは一人の兵士となり、敵軍ひしめく戦場に単独突撃するアクションシューティングだ。初期のカプコン作品の中でも特にオススメできる逸品だゾ。このゲームのいいところは、何といっても秀逸なBGMだ。コンバットな雰囲気満点で気分が高揚する。敵は四方八方から迫り来て、銃弾と手榴弾を雨あられと撃ってくる。こっちも負けじと四方八方に撃ちまくり、手榴弾を投げつける! ほんと戦場は地獄だぜ、ウェーハハハ!! 楽しいな!

『戦場の狼』

『1942』

今度も戦争ゲームだ。カプコンは戦うゲームが大好きだな! このゲームは太平洋戦争の空中戦がテーマのシューティングで、何とアメリカ軍の戦闘機を操縦して日本軍を叩くという内容だ。年号がそのままゲームタイトルってシンプルさもいいな! ゲーム内容もシンプル、かつベーシックで、難易度もそれほど高くない。シューティング初心者が基本を学ぶのにも格好のゲームなのだ。宙返りをキメて敵攻撃をすべて躱す珍しい特殊技がある。燃えるぜ!

『1942』

『ファイナルファイト』

ベルトスクロールアクションのお手本と言われるほど完成度の高い格闘アクションゲームだ。キャラ設定がわりとぶっ飛んでいて、プレイヤーキャラになぜか上半身ハダカの市長を選べたりする。敵キャラも変わったファッションしてるやつが多い。2P同時プレイで協力して戦うこともできる。敵を蹴ったり殴ったりしたときの手応えが特に気持ちイイ。ぜひ遊んでほしいタイトルだ。
  

『ストリートファイターII TURBO – HYPER FIGHTING -』

『ストII』については、もはや説明は不要だろう。みなさんご存じのとおりの大ヒット対戦格闘ゲームだ。このTURBOは元祖『ストII』にいくつかの変更と微調整を施したバージョンとなる。基本的には元祖『ストII』と同じゲーム内容だが、対戦プレイに沿ったバランス調整がなされている。2人対戦で遊ぶなら初期『ストII』よりも断然こっちのほうがいいと個人的には思ってる。今となってはすごく昔のゲームだが、対戦プレイそのものは最新格闘ゲームと較べても何ら遜色のない、白熱の闘いが楽しめるぞ。格闘ゲームの基本としてぜひ体験してほしいぜ! でなければ国へ帰るんだな。

『ストリートファイターII TURBO – HYPER FIGHTING -』

  
  

外山雄一

『スペースインベーダー』に衝撃を受けてプログラミングの道に入った元ゲーム開発者。Z80と68000が主戦場。PCエンジンのCPU(65C02?)も当時好きだった。
好きなゲームは『DEFENDER』『Mr.HELIの大冒険』など。ゲーム音楽なら『F/A』が好き。スマートフォンで遊ぶのはもっぱらSUPERCELLのタイトル。
Twitter:http://twitter.com/@U1_Toyama
  

『バルガス』

『ゼビウス』のヒットからしばらくして、ゲームセンターに縦スクロールSTG(シューティングゲーム)が急に増えました。ゲームシステムがそのまんまなタイトルもありましたが、各社の開発者は画面のスクロールのさせかた、攻撃システム、プレイヤー機の動き、アイテムによるパワーアップなど様々なアレンジを加えていったことから、『ゼビウス』を起点にして生まれた多数のSTGは個性的な作品が多かったと思います。
そんな中、カプコンの第1作としてリリースされた本作は、通常ショットとキャノン砲の撃ち分けによる爽快感と戦略性がウケたのか、通っていたゲームセンターでは長い間、店の奥で稼働を続けていた記憶があります。『1942』や『エグゼドエグゼス』がリリースされた後も、しばらく遊ばれていましたし、自分も時々遊んでいました。
そうして1984年~翌85年にかけて、ゲームセンターの中での存在感を大きくしてきたカプコンというゲームメーカーを認識することになります。正直、このときはその後のカプコンが数々のヒット作を世に送り出し、ここまで世界的なメーカーになるとはまったく想像できませんでした……。

『バルガス』

『1942』

エレメカとは違って、ビデオゲーム黎明期のSTGといえば、宇宙からの侵略者や謎のエイリアンと人類の戦いを描くものが大半でした。思うに初期のゲーム基板では、そもそも画面全体を色づけることすら難しく、背景は黒い宇宙という前提でのゲームデザインが起点だったからではないでしょうか。
カプコンがビデオゲームをリリースし始めた1984年、既にそんな時代は終わっていました。このゲームは鮮やかな発色の青い海を背景にレシプロ機を飛ばして、いきなりプレイヤーを太平洋戦争の真っ只中に投げ出します。今でこそ歴史上の戦争を描いたゲームは無数にありますが、太平洋戦争を真っ向から描く本作は当時のゲームセンターでは異質でした。そのせいか、本作を遊んでいたのは、我々より少し上の世代が多かった気がします。
もちろん自分も遊んでいて、テンポが良い空中戦や緊張感のある巨大ボス戦に夢中になりました。しかし当時(高校時代)は歴史にまったく興味がなく、序盤のステージ名”MIDWAY”(ミッドウェイ)は辛うじて戦場となった地名だとわかったものの、次の”MARSHALL”というステージ名を見て「火星(MARS)の穴?(HALLとHOLEの勘違い) このあと、火星ステージに繋がるSF展開があるのか? やっぱりこのゲームも本当の敵はエイリアン……?」と思ってたぐらいでした。このステージ名がマーシャル諸島のことだと知ったのは、ずいぶん後になってからです。
ご存じのとおり、本作はプレイヤーがアメリカ軍、敵側が日本です。ワールドワイド市場、というか北米市場を意識した作りだということは、今ならわかるのですが、そんなことはまったく考えず、ただ目の前に出てくる日本機を撃ち落とすことに必死でした。
  

『セクションZ』

今でこそ、ロボットアニメ版権を利用したビデオゲームが無数に世に出ていますが、1980年代前半、リアルロボットアニメブームの真っ只中のゲーム基板の性能では、アニメの戦闘シーンのような表現は難しい、というかほぼ無理でした。
当時の自分が、『セクションZ』をプレイした理由は「プレイヤーが人型のSTG」が極端に少なく、ロボットアニメ的なプレイ感覚を味わえる稀有なゲームだったからです。もちろん、メインビジュアルには宇宙服姿のプレイヤーが描かれていたので、自機はロボット的な存在ではないことは重々承知してのプレイでしたが、本作を遊びながら「敵基地深く、単機で潜入していく、オレの****」といった妄想を広げるほどに、ロボットアニメ的なゲームに飢えていました。
折しも時は1985年、後にカプコンの開発者にも大きな影響を与えたであろう「機動戦士Zガンダム」が放送されていた頃です。しかし、欲を言えばプレイヤーの姿勢がもう少し良ければ、さらに妄想を広げられたのですが……あの飛行中へっぴり腰(失礼)な自機に感情移入するのはちょっと難しかった(笑)。
なお本作の約1年後、そんな飢えを癒すかのようなロボットアニメ要素満載のゲームがカプコンからリリースされますが、今のところ『カプコンアーケードスタジアム』には未収録なのが残念!

『セクションZ』

『アレスの翼』

『ゼビウス』の影響下にあったであろう第1作『バルガス』でも、対空/対地ショットの撃ち分けは採用しなかったカプコンでしたが、2年半後リリースの本作では、初の対地ショットを採用。しかもサイドビューのアクションゲームパートもあり、ファンタジー的な世界観でスタートしたかと思えば、先に進むごとにメカと融合したような背景が混ざるようになり、プレイヤーが置かれた世界の異質さが自然に伝わってきます。
この頃の見下ろし縦STGには珍しくプレイヤーが人型で、キャラクターへの感情移入はしやすかったかもしれませんが、1P側は女性キャラだったため、遊んでいただけで「女性キャラ目当て」だと思われるのでは? と、他人の目を気にする必要もありました。
そんな、ビジュアル面もシステム面も異質なSTGが何故カプコンから生まれたか? 今となっては、これも『1942』同様に欧米市場を意識したタイトルだったのだろうと推察できますが、当時の自分は相変わらず世界史にも英語にもあまり興味がありませんでした。アメリカ製のアーケードゲームが日本にやってくれば、それを夢中で遊んではいましたが、逆に日本のゲームが海外のゲームセンターに並んでいるところなど想像もできませんでした。無知とは怖い! カプコンが欧米市場に向けたタイトルはもっと以前からあり、他メーカーと同様に最初からワールドワイドで戦っていたことが、今の日本ゲーム業界を支える礎になっているのだと思います。
  

『BIONIC COMMANDO』

ワイヤーアクションゲームの始祖とも言われている本作、実は当時通ってたゲームセンターには入荷せず、実際にアーケード版をクリアしたことはありません(すいません)
それなのに、何故このゲームについて語るかと言えば、やはり翌年にリリースされたファミコン移植版『ヒットラーの復活 トップシークレット』があまりに素晴らしい名作だからです! 通常、アーケードからファミコンへの移植と言えば、そのハード性能差から表現力や操作性が劣る形になることが多いのですが、本作は移植にあたってワイヤーアクションが改良されていたり、ストーリーが大きく変わっていたりと大幅なパワーアップをしています。あまりのおもしろさにやり込み、全盛期は90分でクリアできるようになったので1日1回クリアしていました(笑)。
この『ヒットラーの復活』は、当時ファミコンでシリーズがスタートした『ロックマン』の1と2の間にリリースされています。カプコンが他メーカーとは毛色の違ったゲームをリリースして存在感を見せていたのは創業当時からですし、『ファイナルファイト』や『ストリートファイターII』で世界にその名を轟かせるのは、もう少し後になってからですが、個人的にはカプコンの快進撃はアーケード版『BIONIC COMMANDO』とFC『ロックマン』が出た1987年から始まったと感じています。
その起点とも言えるアーケード版『BIONIC COMMANDO』が現行機種で遊べる! 今度こそクリア目指してみます

『BIONIC COMMANDO』

  
  

カシオ松下

本名、松下佳靖。ADK出身のMSXとファミコンが好きなゲームクリエイター。
代表作は『ティンクルスタースプライツ』『どきどき魔女神判』など。レトロゲーム愛が高じ、『SNK 40th Anniversary Collection』や『パックマン チャンピオンシップエディション(FCアレンジ版)』のパッケージアートも手掛け、長年の夢を実現させている。
  

『魔界村』

まるで“絵画”~私が一番好きなアクションゲーム
1986年発売とは思えぬ美麗なグラフィック! サウンド! 軽快なアクション! それが「魔界村」だ!
子供の頃にこの名作を見た私は「な、何だこのゲームは! ゲームの中に世界がある!」と非常に驚きました。
“魔界”と“村”。似つかわしくない単語を繋げての「魔界村」というセンスあるタイトル。そして今見ても非常に達者なドット絵……魔界世界を少しかわいらしくまとめてあるそのグラフィックセンス……まるで絵画のようです。
本作で一番感心したのがゲームプレイ直後に姫がさらわれるオープニング! そこからアーサーは鎧を着て戦いに……! そのときのオープニング、マップ、本編の切り替わるタイミングに合わせたサウンドは86年のゲームとは思えぬ完璧なマッチングを見せるのです。圧巻はVS一角獣です。サウンドがVSボスのものに自然に切り替わっていくのです!
まるで映画です。作り手がゲームの演出の可能性に挑戦したことが如実にわかる『魔界村』。本作、難易度は高いのですが『ロックマン』のように慣れればどんどん進められます。ぜひこの名作を体感してほしいです。“伝説”のレッドアリーマーは本作が初出です!

『魔界村』

『戦場の狼』

気分は戦争アクション映画のスター!
中一の頃、母親から「お前は一人で旅をする必要がある」という根拠不明な命令で佐渡島に一人でキャンプに参加させられた私、カシオ少年。渡航中の船の中に置いてあったゲームが本作、『戦場の狼』との初対面でした。
落ち着いた色彩で描かれたグラフィックとステンシルフォントで描かれた文字は、戦争映画のような臨場感たっぷりです。ゲームを始めると軽快で勇ましいBGMとともに“スーパージョー”が登場。操った瞬間に気分はアクションスターです。ガガガガガ! ボクシ! ボクシ! と効果音も最高に気持ちがいい!
スピード感もすごいものです。当時のアーケードの戦争アクションは静かに歩くものもあったのですが、本作は従来のシューティングゲームのようにぐんぐん進みます。テンポが速いのです。
一番驚いたのが“スーパージョ―は動いた方向に弾を撃つ”ことです。今までそのようなゲームをやったことがなかったので、非常に新鮮でした。
クリアすると“スーパージョ―”が「一服」をするカッコイイデモで気分は最高潮。すっかり戦争の英雄になりきり、大興奮でプレイしていましたが、佐渡島のキャンプ場では牛の乳しぼりとイカのソーメン作りとギャップが凄い。
「早く帰って『戦場の狼』やりてェなあ……」と思ったものでした……と思い出深い作品です。
80年代の傑作戦争アクションゲームです!
  

『大魔界村』

これがアーケードゲームの凄さか!
大好きな「魔界村」の続編です。
主人公アーサーは前作とは違い、上下左右の攻撃に、7つの武器と6つの魔法を使うことができます。当時「ゲーメスト」で見た瞬間に「やりたい!」と思ったものですが、あいにくなかなか地元のゲームセンターで見つけられず、メガドライブ版(名移植!)を発売日に購入しました。
その後“藤沢ジョイパーク(元SMAPの中居氏がよく通っていらしたらしい)”で“本物”を発見することとなりました。
見た瞬間にグラフィックの描き込み、キャラサイズ、アニメパターンの多さにコンシューマ移植とは違う“アーケードらしさ”を感じました。「すごい…!」
初プレイですが、メガドライブ版で予習したおかげで自分はどんどん先に進むことができました(生まれて初めてギャラリーが付いたゲームです)。圧巻は2面です。どのコンシューマ移植も背景の炎がパレットチェンジになっていましたが、アーケード版は細かいアニメーション処理でグングンと炎が揺らめき動くのです。この頃のカプコンアクションは描き込み、軽快な操作性、圧倒的な世界観と、80年代アーケードアクションの頂点を極めたと思っています。
2周目をクリアして最高のアクションゲームの、最高のエンディングを見てください。
  

『1943 -ミッドウェイ海戦-』

オシャレにまとめた傑作海戦シューティング
大ヒットシューティング『1942』の続編ですが、私は前作はファミコン移植でしか遊んだことがなくアーケードゲームでの『19』シリーズはこれが初体験でした。
このゲームを最初に見たときの印象は「戦争シューティングゲームなのにオシャレだなぁ……」でした。明るく描き込まれたグラフィックももちろんそうなのですが、アイテムの仕様が『サイドアーム』同様だったり、自機(P38-ライトニング)が戦闘機であるにも関わらずボムが「メガクラッシュ」なのです。戦争に何も関係がないのです。その「おもしろければいいんだ」なシャレたセンスを持つスタッフが後の格闘ゲームで一世を風靡することになるとは、中学生の自分では知る由もありませんでした。
ゲーム内容もセンス同様見事なものです。P38-ライトニングは体力制で回復もします。「一発死」ではないため、緊張しすぎず遊べます。敵の配置も理不尽さはなく倒しやすくなっていますが、ボスに近づくと少しずつ戦火が激しくなっていきます。
これだけオシャレな作品ながら丁寧に前作『1942』から海戦シューティングの雰囲気も引き継いでいます。確実な仕事なのです。
あと「同時押し」で自機は回転するのですが、これも当時では珍しい仕様で、先鋭的な作品でもあります(余談ですが、この勝利時のP38-ライトニングが目の前に飛んできて、敵のボスが“堕ちる”デモシーンは後の格闘ゲームの勝利デモ演出の元ネタになっているのでは? と思っています)。
最後に……このゲームの最も不思議なところは、敵を見つけた際に「我敵艦隊発見セリ コレヨリ攻撃にウツル」と表示。カッコいい! ……のですがアメリカ軍が自機なのに日本軍風? なぜでしょうか(笑)。

『1943 -ミッドウェイ海戦-』

『フォゴットンワールド』

“あきまん”氏のセンス爆発の幻想世界
この『フォゴットンワールド』、まずタイトル画面が凄い! クレオパトラの顔が開いてタイトルロゴが張り付いているのです! センスが日本人離れしています。
「奴は いたか」のカプコン独特の明朝体(通称:カプ明)で始まる巨大な“超戦士(名前がないのがいい)”のあまりにもカッコイイデモ……。そのインパクトから、のちに多くのアーケードゲームで巨大な人が出てくる類似したデモが作られました。
独特の細長いCP1の384×224解像度(設計段階で指定を間違ってこうなってしまったらしい)の基板で描かれたグラフィックは“見事”の一言。“あきまん”こと安田朗氏によって描かれた背景は当時としては珍しく「光源が下から」入っており、怖さと幻想感が入り混じった素晴らしいものです。こんなものを見せられたら遊ぶしかありません。
いざプレイすると操作性にビックリ。「ローリングスイッチ」と呼ばれるそのボタンの回転に合わせ、超戦士の持つ“サテライト”と呼ばれる武器も回転し、様々な方向を狙えるという仕組みです。これにより、前後左右に迫る敵を縦横無尽に撃ちまくり、倒すことができるようになっています。
さらに本作の凄いところは、面やザコの使いまわしがほぼ皆無、次から次へと凝りに凝った背景とザコとボスが現れてくるのです。この“完璧なゲーム(私判断)”である本作。かかった予算なりの収益が得られず、次回作『ファイナルファイト』では開発期間や予算や基板の容量も削られてしまった状況だったという話が、後に関係者から語られていますが、にわかには信じられません。
本作は格闘ゲームブームの前のカプコン絶頂期のうちの1本だと思いますので、ぜひ体感してください。

『フォゴットンワールド』

『ストリートファイターII The World Warrior』

こんなデカキャラを僕が扱っていいの?
言わずと知れた超有名作ですが、本作を初めて雑誌で見た印象は「キャラが大きい! 大きすぎる!」でした。当時のアーケードゲームはそもそもが“大きいキャラクター=ボス”として扱われたものが多く、動きはギクシャクしていて、当たり判定も悪く言えば“おおざっぱ”なモノが大きかったと感じていました。その概念を覆し「デカいキャラでもおおざっぱじゃないんだよ」と教えてくれたのが同社の『ファイナルファイト』でした。
しかしこの『ストII』はその“デカキャラ”がさらに大きくなっており、登場するキャラクターも一画面にたったの二名……。
「スゲェぞ!」という同級生の体験話を聞き、すぐゲームセンターへ。動いている『ストII』を見た瞬間に私、カシオ少年の「不安」はぶっ飛びました。まず、すさまじく画面がきれい!! そしてキャラのアニメーションが異様に細かいのです。
「こんなデカキャラを僕が扱ってもいいの?」とゲームを開始すると、きびきびした動き、正確な当たり判定、美しい音楽に、迫力ある音声と効果音……! すごすぎる…!
当然、当時はそこまで考えていなかったのですが「ゲーム」の表現がまた一つ上の段に上がった気がしました。それもそのはず、本作を製作したのはあの“西谷亮”なのだから。『ファイナルファイト』でベルトスクロールアクションの概念を変えた凄いクリエイターやスタッフたちが“ちゃんとした”デカキャラ対戦アクションを作ったのです。
  
  

西谷 亮

1967年東京生まれ。1986年株式会社カプコン入社。業務用ビデオゲームソフトの企画職として『ストリートファイターII』『ストリートファイターII’』の開発に携わる。カプコン在籍時には、『フォゴットンワールド』『ファイナルファイト』『X-MEN』などの企画も担当。1995年株式会社カプコンを退社。同年株式会社アリカを設立、代表取締役社長に就任。 代表作は『ストリートファイターEX』シリーズ、『EVER BLUE』シリーズなど。
  

『魔界村』

魔界シリーズはここから始まった!
このとっても硬派なグラフィックと硬派なゲーム性、何といっても硬派な操作性! アクションゲームとしてここまで攻略性の高いゲームは初めてだったので物凄くプレイのしがいがありますよ。
一度だけなら攻撃を食らっても良いというアイディアも秀逸です。
ゲーム性だけで考えると残機性みたいなものなんですけど、「食らうと鎧が脱げる」という見た目とゲーム性がマッチしているのが素晴らしい。しかも鎧がないときでもプレイヤーの性能は同じなはずなのに何かすごく弱くなった感じがしたり、「次に攻撃されたらまずい!」っていう緊張感がいい意味で凄いです。
レッドアリーマーの「知能がある感」も驚きましたね。だってこちらの攻撃を避けるんですもん。ちゃんと世界があって、そこに魔物が住んでるんだなって感じが伝わってきました。

ワンポイントアドバイス
攻撃した直後にわずかに前移動することで攻撃モーションをキャンセルできる。
これを素早く連続してやることで攻撃を連射できるぞ!
  

『大魔界村』

あの魔界村が帰ってきた!
何と上下に攻撃できるようになり、遊びの幅が広がりました。ステージやボスも個性豊かで攻略のしがいがありますね。
今回から追加された「黄金の鎧」はタメ攻撃ができるようになりました。これは武器によって異なる魔法攻撃が出せます。使う場所によってはとっても便利に使えますね。
私はちょっと別の遊びかたをしていて、安全に進むというコンセプトのもと、万が一攻撃をくらった場合に備えて黄金の鎧をわざと取らないで置いておく。ということをしていました。
置いておけば鎧を失っても戻って取りに行き、鎧が復活しますからね(ただし裸状態で黄金の鎧を取っても通常鎧になってしまう)。まぁこんな遊びかたもあるよ! ってことで。

ワンポイントアドバイス
宝箱から出るものには規則性がある。
これを見抜けば貴重な鎧を有効に利用できるぞ!

『大魔界村』

『フォゴットンワールド』

私が初めてゲーム制作に関わることになった記念すべき作品です。最初はアクションゲームだったんですけど、そこから発想がどんどん膨らんでいき、とにかくたくさん攻撃して気持ちが良いゲームにしよう! →360°射撃できたらもっと気持ちがいい! という風にどんどんプレイヤーも敵も派手になっていきました。当時としてはかなりの派手な画面になっていますのでぜひ体感してみてください。
あと外せないのがやっぱりクリア時のデモですね(笑)。あの独特のセリフ回しと、当時の低いサンプリングレートで再現されるボイスは必見です!

ワンポイントアドバイス
金色のモビちゃんがどっかに出るはずです!
探してみてください!
出現条件、出現場所、効果は忘れました!(無責任過ぎてすみません)
  

『ファイナルファイト』

ゲームの内部的な仕組みにすごくこだわって作成することができた作品です。どうしたら気持ちの良い操作性を出せるのか、今までイヤだなと思っていた当たり判定の持ちかたとか。こういったことがその後のゲーム作りに影響していきました。
容量が限られていた時代だったので、いかにキャラクターを大きくインパクトのある見栄えにするかとかも凝りましたね。大きめのキャラクターは上半身は固定で、下半身だけ歩くパターンを持って容量を節約するとか、敵キャラクターがバックするときとかもパターンを逆回しにしてなるべく違和感がないようにするとか。
ぜひ試してほしいのが通称「錬金術」ですね。これはとあるゲームのリスペクト仕様なのですが、設置物を壊した瞬間くらいにスティックやボタンを押すと成功していれば10000点のアイテムが出現します。本来何も出ないところでも出ますし、体力回復の食べ物とかも10000点に化けちゃいます(笑)。ぜひこれでハイスコアを目指してください!

ワンポイントアドバイス
ラウンド3のボス「エディ.E」が吐き出すガムは体力回復効果があるぞ! 屈辱かもしれないがクリアの為には我慢しよう。
また、体力が満タンの時に取ると42910点という高得点だ!(すみません私の誕生日です)

『ファイナルファイト』

『ストリートファイターII The World Warrior』

対戦ゲームというものを深く考えさせられることになった作品ですね。『ファイナルファイト』のときは「プレイヤーが楽しければ良い」というところを押さえておけばよかったんですが、対戦ゲームである以上、やられている人がいるわけで、その辺のバランスを取るのが苦労しましたよ。
『ストII』といえばコンボですが、あらためて見てみるとコンボの攻撃力が凄く高いですね(笑)。ここはひとつ初心に帰って一からコンボを開発してみてはどうでしょう? こんだけ豪快に減るんだ! っていうのをぜひ体感してほしいです。ヒット音も妙に気持ちが良かったりしますしね。
今となってはシリーズもたくさん発売され、感慨深いものがあります。この作品をリアルタイムで体験していたかたがたは懐かしんでプレイしてください。また、最近の『スト』シリーズはプレイしたけど『ストII』はやったことない。というかたがたもぜひぜひプレイしてみてください!

ワンポイントアドバイス
体力が少なくなってもあきらめるな!
瀕死になると硬くなるシステム、通称「根性値」があるからだ!

『ストリートファイターII The World Warrior』

  
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