さあにん@山本直人の我が青春のテレビゲーム

  • 記事タイトル
    さあにん@山本直人の我が青春のテレビゲーム
  • 公開日
    2021年03月26日
  • 記事番号
    4998
  • ライター
    さあにん@山本直人

第十回:ヤツが盗んだのはルパンファンの心です!

『スペースインベーダー』に次いで『パックマン』という世間を大きく変えるタイトルが登場はしたものの、まだまだテレビゲームは黎明期でありました。
今回は、そんな中に登場した「メジャーなタイトル」のお話であります。

テレビゲームの業界に薄かった「著作権」の意識

1980年頃のテレビゲーム業界は、お世辞にも「著作権」に対するモラルが高くありませんでした。
『スペースインベーダー』をはじめとする、デッドコピー基板はもちろん、そのほかの要素についても「著作権」という視点はほぼなかったというのが当時の実際でありました。

中でも大きく無視されていたのが「音楽著作権」。
歌謡曲やTVでおなじみの曲が、平然とゲーム中に登場しておりました。
まぁ、この頃はほとんど単音の演奏で、元の音楽とは程遠い演奏だったり(極端に言えば音が外れていたり)、「ホントにあれが原曲!?」というような、複数のパートをくっつけて、アレンジした音楽がゲームに使われていたものです。

ゲームタイトルも、どこかで何だか聞いたことがあるようなものが登場したり、ある意味、何でもありの時代でしたな。

そんな中、タイトーから登場したのが『ルパン三世』であります。
元となったのは、誰もが知るであろうモンキー・パンチ先生原作のテレビアニメ。
1977年にスタートした第2シリーズが人気を博し、個々のキャラクター人気も沸騰していた頃の話であります。

こちらがタイトル画面。シンプルかつ、当時のグラフィックの限界を感じる画面であります。
ゲームスタート時のデモンストレーション。いや、目立ってるな、オイ。

テレビゲームの世界にアニメキャラクターが降臨した

この頃、アニメは「宇宙戦艦ヤマト」を第1次とするならば、第2次のブームを迎えており、特にキャラクターを使った二次創作活動が花開こうとする時代であります。
さくまあきらさんや、堀井雄二さんが執筆していた雑誌『OUT』の「アニパロ」コミックを中心に、さまざまなアニメのキャラクターで、いろいろな作家さんが二次創作作品を発表しておりました。

『ルパン三世』も、その代表格となるのですが、それは若干あとのハナシ。
このタイトルが登場した時期は、ちょっとオトナでオシャレな作品の世界観と声優陣に皆が夢中になっていたのであります。

ゲームタイトルの登場とともに、店内に貼られたアニメイラストを使用したインストカードや、アップライト筐体のデザイン。
原作コミックからのファンである私の心は、踊りに踊ったのであります。

が、しかし。
実際にゲームに登場するのは、なぜかマントを羽織ったキャラクター。
ご存知のとおり「ルパン」といえば、あの赤い衣装がトレードマーク。マントを羽織った「怪盗」なんて、記号的デザインもいいところ……。
追いかけてくる敵はどうみても銭形警部には見えず……なのですが、インストカードなどにはご丁寧に、マントを羽織ったルパンが描かれているのであります。
これはこれで味のあるルパンでありました。

このタイトル、実際には、ゲームアイデアを公募した入選作品に、あとから『ルパン三世』の版権をのっけたもの。企画当初からルパンありきで作られていたわけではないので、アニメの内容と細かくリンクしていなくても、当然と言えば当然なのでありました。

けれどゲーム途中で「ルパン三世のテーマ」が流れてくると、一緒に遊んでいた友人とともに
「おーーーーっ! すげーーーーっ!」
と、大歓声。ステージ間のデモンストレーションでは
「不二子! 不二子!!」
と、大盛り上がり。
やっぱり、キャラクターの力は凄いのであります。

『ルパン三世』のゲーム画面。上にあるお宝(ドル袋)を盗むのが、今回の目的。下の陣地まで運べば盗んだことになる。ドル袋は一度に2つまで持てますが、2つ持つと移動速度が遅くなる。
スコア表記の枠の横線がワルサーP38、縦線が十手。エネルギー残の表記の枠が銭形警部の帽子になっていたりと、キャラクター性を出しております。

ステージクリア時には、いただいたお宝を不二子に届けるルパンの幕間劇を観られるのですが、原作よろしく振られてしまいます。
しかし、3ステージクリアでようやく愛が受け入れられ、やがて不二子の待つ樹の下には子どもの姿が……。
この展開に当時はかなり驚いたものであります。
しかし、今見てみると、なかなかに無理のあるグラフィック。それでも思春期全開の高校生は、あんなことやこんなことを想像していたのであります。

はじめのうちはこんな感じに不二子に振られてしまうのであります。原作どおりのいつもの展開ですな。
ステージが進むと、ルパンの愛を受け入れてくれる不二子。やがて2人の子どもが一緒に画面上に登場するのであります。ちなみに実際には、1976年に刊行されていた「週刊少年アクション」に「ルパン小僧」という作品が公開されており「ルパン三世」の子どもという設定でした。

マンガやアニメのアーケードゲーム化に思いを馳せる

とは言えこの『ルパン三世』、ジョイスティック移動の操作性が悪かったり――この当時は、コースに沿ってきっちりと方向転換しないと、通路を曲がることができないものがほとんどでした。
『パックマン』以降、コースに合わせたストレスのない操作ができるものが増えましたが、この時期はまだまだ。それでも、警官や警察犬の移動パターンを覚え、理不尽なワープにあせりつつ、愛しの不二子ちゃんからの愛をいただくときを夢見て、ドル袋をひたすらに運んだのであります。

ボタンを押すことで、ルパンがコースの8か所ある、通路分岐地点のどこかにワープする。警官のすぐ近くにワープしたりして、逆に大ピンチになることもあった。
ミスすると、ルパンが投獄される。このタイトルに限らず、当時のテレビゲームのミス表示画面は、シンプルにインパクトのあるものが多かったですな。
ゲームオーバー画面。一応、連行しているのは銭形警部だと思うんですが、連行先が非常に地味でした。

プレイ中にアニメを思い出すところは、BGM以外(しかも一部)「まったく」ないタイトルではありましたが、それでも当時は、大満足して遊びふけったのであります。

しかし思うに、コミックやアニメタイトルの版権ものの「アーケードゲーム」って、実は非常に少ない、もしくはヒット作があまりないのではないでしょうか。
映画がモチーフの体感ゲーム、大型筐体とか「機動戦士ガンダム エクストリーム」のような通信対戦ものとかは思い出せるのですが、この『ルパン三世』のようなゲームタイトルで、しかもヒットしたものというと、ポンっ! と浮かんでこないのであります。
逆にゲームがコミックやアニメになった例はけっこうありますけれども。

そうして考えると、この『ルパン三世』というタイトル、稀有な例なのかもなぁ……。
なんてことを思ったりするのであります。
  

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