「イチハラ指揮者の“カレー”なる日々」第5回 *オーケストラの基本ダーッ!*

  • 記事タイトル
    「イチハラ指揮者の“カレー”なる日々」第5回 *オーケストラの基本ダーッ!*
  • 公開日
    2020年05月29日
  • 記事番号
    3041
  • ライター
    市原雄亮

元気ですか! 元気があればなんでもできる。元気があればコロナにも勝てる!

演奏家に新型コロナウイルスの影響が……

新型コロナウイルスのおかげで演奏家業界は大変なことになっております。
私も3月の頭から一切の仕事が飛んでしまい、現在も再開の目処が立っておりません。
最後に指揮をしたのが3月1日でした。
つまりもう3ヶ月間ほど無職が続いているということになります。
大変だあ。わはは。コロナ絶対撲殺する!

関係ない話で恐縮ですが、自分が無職になったことよりも、志村けんさんが亡くなられたのが一番ショックで、訃報が飛び込んできた日は一日何もできませんでした。
子どもの頃、ドリフターズに入ることが夢の一つだった身としては、指揮者という立場から志村イズムを継いで行ければと思っております。だいじょうぶかぁ?

さて、現在進行系で壊滅的な打撃を受けている演奏業界ですが、昨今のゲーム音楽演奏シーンでの流行りである大規模オーケストラによる公演が開催できるのは、一体いつになるのやらといった感じです。
しかし、いずれ必ず再興できる日がくるはずです。
その来たるべき日に備えて、ゲーム音楽ファンの皆様に向け、オーケストラとはなんぞやというお話をしたいと思います。

あくまでオーケストラにご理解を深めていただく取っ掛かりとして概要を述べていきますので、もっと詳しく知りたいと思う方がいらっしゃいましたら、色々と調べて世界を拡げていくのはとてもよいことかと思いますし、私に質問いただいても構いません。
連載の中で極力お答えできればと思っています。

新型コロナのせいで、ラーメンもカレーも食べに行けなくなってしまいました。悲しい。コロナ絶対撲殺すると誓ったのであります。

オーケストラとは?

まず、オーケストラとは一体何なのかというお話ですが、複数の楽器による大規模な合奏形態であると考えてよいでしょう。

「743年に墾田永年私財法が制定されました」というような明確な年はないのですが、17世紀半ばから後半にかけて萌芽し、18世紀半ば頃には成立した様式とされています。
日本ですと江戸時代ですね(江戸時代は長いのですが……)。
ですから、2020年現在、オーケストラには約300年の歴史があることになります。

日本語では「管弦楽団」と訳され、オーケストラで奏でる音楽のことを「管弦楽」と言います。
ただし、「オーケストラを聴きに行く」や、好きな音楽を聞かれて「オーケストラが好きです」いう言い回しもありますから、オーケストラという単語が管弦楽のことを指す場合もあります。
「管弦楽団を聴きに行く」とは言いませんからね。

さて、複数の楽器と一口に言ってもたくさんあるわけですが、主に使用される楽器群は以下のように大別されます。

1.管楽器
  1-A.木管楽器
  1-B.金管楽器
2.打楽器
3.その他の楽器(ピアノ、ハープ等)
4.弦楽器

上記は総譜(スコア)と呼ばれる、指揮者が使う楽譜に記載される基本的な順番です。
これらの楽器群の中に、ヴァイオリン、トランペットといった個別の楽器があるということになりますが、各楽器の詳しいお話はまた別の回にでもいたしましょう。

オーケストラと呼ぶには上記の楽器群がすべて必要なのかというと、それもまた違います。
しかし弦楽器だけ、管楽器だけではオーケストラとは呼べません。
それは、それぞれ弦楽合奏、管楽合奏といった別の形態となります。
オーケストラであると言える最も小さな編成は「弦楽器」と「管楽器」による合奏といってよいでしょう。

打楽器は必須ではありませんが、ティンパニ(*01)が入ることが多いです。
そのうち、どの楽器が必要なのかは明確に定まっていません。
特に管楽器はフルートがなかったり、クラリネットがなかったり、トランペットがなかったり、様々な編成が存在します。

すなわち、「絶対にこれ!」という定義はないと思っていただいて間違いないです。
そんな中、現代でも見られる小規模スタンダードな編成と言えるのが以下になります。

◎オーケストラ
  ●木管楽器
   ・フルート
   ・オーボエ
   ・クラリネット
   ・ファゴット
  ●金管楽器
   ・ホルン
   ・トランペット
  ●打楽器
   ・ティンパニ
  ●弦楽器
   ・第一ヴァイオリン
   ・第二ヴァイオリン
   ・ヴィオラ
   ・チェロ
   ・コントラバス

これが読者の皆さんも一度は名前を聞いたことがあると思われます「モーツァルト」や「ベートーヴェン」といった超有名な作曲家が活躍していた「古典派」と呼ばれる18世紀後半あたりの楽曲の主な編成です。
私はこの編成がとても好きです。
さらに昔の「バロック」や「ルネサンス」と呼ばれる時期まで遡ると、もっと小さな編成はあるのですが、現在お目にかかれる機会は圧倒的に少ないので、ひとまず考慮外とします(バロック、ルネサンスの人たちごめんよ!)。

そして時代が進むにつれ、どんどん使用される楽器が増えていきました。
オーケストラが大規模化していったというよりは、作曲家が新たな音色や表現を求め、様々な楽器を使用するようになっていったのですね。

ひとまず、上記に加えてトロンボーンとテューバを覚えておけば、あなたもオーケストラ通! やったぜ!

この写真は中規模編成(ただし弦楽器が少なめ)。トロンボーン、テューバに加え、複数の打楽器奏者がいます。指揮者はオレオレ、オレだよオレ!

現在、オーケストラの演奏会で演奏される頻度が高い曲は、上記よりも大きな編成であることが多いのですが、新型コロナウイルスの影響により、上記のような伝統的な小規模編成で演奏できる曲の演奏機会が増えるのではと言われています。
オーケストラによるゲーム音楽演奏にもその波が来るのかもしれませんね。

なお、私が代表を務めている「新日本BGMフィルハーモニー管弦楽団」は、上記編成からティンパニがなく、トロンボーンが入るという小規模編成となっています。

ゲームに例えると?

以上の話をゲームに例えると、例えばRPG(じゃなくてもいいのですが)というジャンルを成立させるために最低限必要な要素は何なのだろうという話に通じるかなと思います。
RPGを構成する要素のうち、戦闘だけならRPGと言えるでしょうか。マップ移動だけなら? 買い物だけなら?
これも明確な定義はありませんが、単一要素、もしくは2つくらいではRPGとしては成り立たないと思われます。
多くの人が、これがあればRPGだと思うのは……

◎RPG
  ●マップ移動
  ●アイテム(装備)
  ●謎解き
  ●戦闘
  ●レベルアップ

といったあたりではないでしょうか。
もちろん、昨今のゲーム事情からすると必ずしも正解ではないのは承知しております。
あくまでイメージしやすくするための例えということでご了承ください。

今回のまとめ

・オーケストラの演奏する音楽=管弦楽
・オーケストラ=管弦楽団(管弦楽のことも指す)
・オーケストラには少なくとも管楽器と弦楽器が必要!

これを覚えておいてください。

そんなわけで、今回はオーケストラの基本でした。
えっ、指揮者は一体なんなんだって?
ちょっと何言ってるかわからないです。

それではまた次回!
読めばわかるさ、ありがとーっ!

脚注   [ + ]

01. 非常に大きな鍋を逆さまにして革を張ったような太鼓。最低でも2台1組で使用され、それ以上の台数で使用されることも多い。なのでティンパニは複数形。単数ではティンパノになるのだが、単数で呼ばれるのはこれまで一度も聞いたことがないし、言ったこともない。

こんな記事がよく読まれています

2019年09月27日

『ナイトストライカー』を作った男たち 前編

海道賢仁×津森康男 ダブルインタビュー 今からちょうど30年前の1989年、タイトーからリリースされた名作シューティングゲームが『ナイトストライカー』である。セガの体感ゲームの数々が人気を博していた当[…]

2019年10月18日

なかったはずの海外アーケードゲームを楽しむ男 前編

1980年代初頭から「ゲームブティック高田馬場」(すでに閉店した、高田馬場にあったナムコ直営のゲームセンター)を中心に、海外のアーケードゲームのおもしろさを多くのプレイヤーに広めた男がいた。自分の好き[…]