「イチハラ指揮者の“カレー”なる日々」第10回 *「オホーツクに消ゆ」の音楽を紹介するんダーッ! 捜査3日目*
元気ですか! 元気があればなんでもできる。元気があればレビューも佳境に入る!
突然ですが、皆さんは北海道に行ったことがありますか? 私は4~5回あります。道東の大自然や、市場で食べたイクラ丼や、ジンギスカン……すべてが最高でした。うらやましいか! フハハハハハハ。では続きです。
ここで一点お知らせがあります。
前回の記事をアップした後、読者の方より「始まり」はPC版で唯一流れる音楽(ジングル)であるということを教えていただきました。
なるほど、それをFC版にも使用したわけですね。というわけで、オホーツクを代表する曲と言えそうです。
PC版は未プレイなので勉強不足でした。ありがとうございました!
真紀子とめぐみ(真紀子~めぐみ)
「真紀子」
三度(*01)の往復を、長さを変えながら進んでいく不思議な浮遊感のある曲です。ヒロインのテーマでありながら、得も言われぬ不安感を私は感じます。
そういう部分に、作曲者が意図するしないに関わらず、素晴らしい才能が見え隠れするのです。
対してアレンジは……
「遠慮してんじゃないです! これがアレンジじゃないですか! これがオホーツクの! ねえ、そうじゃないですか!?」
「じゃあ力でやれよ力で!」
「やりますよ!」
「ああ? ああ? やれんのか本当にお前!」
「やりますよ! ほっといてください! 俺のこと!」
「いけるかい? ええ!?」
「(ハサミで原曲を切りながら)やりますよ! やりますよ!」
「待て待て、待て」
という具合で、何の曲やらわかりませんでした。
何度も聴き比べてようやく理解しました。
アレンジでもなければカヴァーでもない、インスパイヤーされた新たな著作物と言っていいでしょう。
何というか、北海道の麗らかな昼下がりという感じを持っており、ワクワクの旅行気分が滲み出ています。
これはこれで悪くないんだけど……原曲とは別モノです。はい。
「めぐみ」
長いベース、八分音符のアルペジオ、三連符のハイハットの上にメロディが乗るという曲です。
それぞれのパートが異なるリズムを打ち出しており、それが一つにまとめられているところがとてもおもしろいです。
ちょっと落ち着きますね。ハーフタイム、清涼剤的な。
この曲は何と言ってもバスタオルの場面の印象が……いや、何でもありません。
アレンジは残念ながら、原曲の持つ良さを引き継げていないと感じます。
不思議ちゃんの曲になってしまっているようです。いやまぁ、めぐみは不思議ちゃんだとは思いますよ。
だって、見つめられて可哀想だからってバスタオルを……いや、何でもありません。
オホーツクに消ゆ(ばしょいどう2)
「ばしょいどう2」(正式な曲名はこれでいいんだろうか……)
おっ、何か物語が佳境に入ってきた感じ? ガンガン捜査行くぜ行くぜ~! そんな印象を持たせる曲です。
ベースがずっと高音域を動いているのと、細かいハイハットがプレイヤーの気持ちを前のめりにさせる効果を発揮しています。
ライナーノーツでご本人が「最も人気のある曲だけど、あまり気に入っていない」と書いておられますが、何となくわかる気がいたします。
そういう曲ってどの作曲家にもあるみたいです。
アレンジはいきなり波の音から始まります。
そして突如流れる和風アルペジオ。
あれっ、ゴエモンのサントラだっけ!?
いや、そういう曲じゃないのではないか。
そんなに悪いアレンジだとは思わないのですが、やはり原曲の長所を潰してしまっていて残念です。
Bメロには謎のマーチ調のスネアロールが入ったりしてびっくりです。
転調してのギターソロはいい感じ。
すすきの人生(すすきの人生~芸者)
「すすきの人生」
捜査中、何度も足を運ぶことになる居酒屋コロポックリのテーマです。
ド演歌です。以上です。
コロポックリは居酒屋というか炉端焼き屋なんですね。
皆さん炉端焼きは食べたことがありますか?
よく炉端焼き屋ってありますが、大抵の店が焼き物を出してくれるだけじゃないですか。でも本当は違うんですよ。
店員が炉端に座って、注文を受けた食材を焼きます。
それを巨大なしゃもじに乗せてお客さんの前に出すんです。
ゲンさんも若い店員もしゃもじ持ってますよね。そういうことなんです。
新橋にこのスタイルが楽しめる炉端焼き屋がありまして、何年か前までしょっちゅう行ってました。
思い出の地です(今もあります)。
みなさんも機会があれば是非行ってみてください。
オホーツク気分が味わえるかもしれませんよ。
「芸者」
捜査中に立ち寄る宿で芸者遊びをさせてくれる菊奴(きくやっこ)のテーマです。
何度芸者遊びをしても怒られません。全部経費で落ちているものと思われます。
しかしすごいですよね、ファミコンの音源なのに本当に三味線の演奏のように聞こえます。
過去の素晴らしき技術だと思います。
アレンジは「すすきの人生」の途中に「芸者」が挿入され、「すすきの人生」に戻って締めくくられます。
わははははは。これはもう文句無しでしょう。
だって本当はこれがやりたかったことでしょうから。
こうせざるを得ない曲というか、原曲の意思が非常に強い(いや、他の曲でも強いんですよ)ので、これだよこれ、こういうのでいいんだよと大賛成であります。
ご本人の頭の中ではこういうのが流れていたんだろうなぁと思える良アレンジです。
素晴らしい!
といったところで残り3トラックです!
次回完結! 乞うご期待!
それではまた次回!
読めばわかるさ、ありがとーっ!
脚注
↑01 | 簡単に説明すると、その音自体を一度、隣り合う音を二度と表現し、以後音が離れていくたびに数が増えていきます。この譜例だと、ミとド、およびソとミは三度の関係にあります。 |
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