個性的なデザインが特徴のキャラクターアクション『ボナンザ ブラザーズ』

グラデーションで彩られたシンプルな美しさのグラフィック、円柱に手足がついたような印象的なキャラクター。セガの『ボナンザ ブラザーズ(BONANZABROS.)』(1990年)は、プレイしたことはなくともゲーム画面はなんとなく覚えている、そんなオールドゲーマーも多い作品ではないだろうか。

本作は、セガ・システム24※01セガシステム24 : 1988年にセガが販売開始したシステム基板。1994年までの7年間に対応ゲーム15タイトルがリリースされた。用タイトルの中でも『ゲイングランド』(1988年)と並んでいまだに語られることが多く、同基板の代表的タイトルの一つとなっている。今回はそんな本作の魅力について語ってみたい。

システム自体は極めて王道のアクションゲーム

『ボナンザ ブラザーズ』はセガ・システム24の第7弾として1990年にリリースされたタイトルである。泥棒兄弟のMOBOとROBOを操作して、銀行、大富豪の邸宅、美術館といった建物に潜入。警備のスキをついてお宝を盗み出すという内容だ。アイテム回収が目的という、いわば広義のドットイートゲームであり、お宝回収後は出口まで行けばステージクリアとなる。

なお、セガのアクションゲームには同種の「回収+脱出」型ゲームは多く、同じシステム24の『クラックダウン』(1989年)のほか、システム16の『SINOBI 忍』(1987年)、『エイリアンシンドローム』(1987年)など多数の例がある。そういった意味では『ボナンザブラザーズ』はセガの王道アクションゲームのテンプレートに沿った作品といえるのかもしれない。

▲巨大なロゴをぶら下げた飛行船が登場するタイトル画面(画面写真はX68000版)

2分割画面による2人同時プレイの利点と弊害

▲出口とお宝を守っているのは巨大なヒゲ男(画面写真はX68000版)

本作のゲームシステム上の特徴としては、画面2分割の2人同時プレイが挙げられる。画面下部に1プレイヤー、画面上部に2プレイヤーのゲーム画面が配置されており、お宝を目指して2人同時に1つのフロアマップ内を探索することになる。

従来の同種のゲームでは同一画面内で2人が一緒に行動するため、片方のプレイヤーが画面の隅で引っかかったまま、残りのプレイヤーは先に進めないといった弊害があった。本作では各プレイヤーに個別の画面を用意することで、お互いがストレスなく単独行動できるようになったのである。

もっとも、最初から2人用の画面を用意しているということは、1人プレイをしているときには実質的に下半分のみを使ってゲームを遊ぶことになるため、画面半分は完全なデッドスペースになってしまうという欠点があった。

また、せっかく2人同時プレイで個別画面が与えられているのだから、「片方のプレイヤーが罠を解除しながら、もう片方がそこを通過する」といった「仕掛け」があれば、よりこのシステムを活かすことができたのではと正直感じてしまう。

先ほど同タイプのタイトルとして『クラックダウン』を例に挙げたが、ゲームのルール以外にも「画面2分割の2人同時プレイ」や「画面中央のフロアマップ表示」など共通点が多い。『クラックダウン』と本作には、「左右分割」と「上下分割」、「ハードSF」と「コミカルな泥棒もの」、「時限爆弾の設置」と「お宝の回収」といった差異はあるものの、リリース時期が近いことからも、根底は同一の企画だったのでは? と感じさせる。

▲ボーナスステージでは、サーチライトを避けながらお宝を集めろ!(画面写真はX68000版)

システム24が生み出した特徴的なグラフィック

『ボナンザブラザーズ』のもう1つの特徴は、従来のゲームになかった特異なグラフィックにある

本作は486×384ドットという、従来の2倍近い解像度を持つシステム24で発売されたタイトルである。BGキャラクター定義数は8×8ドットのキャラクターを4,096個までで、1画面を埋め尽くすには2,928個必要なことから考えると、決して潤沢な数とは言い難い。その結果、システム24のゲームは大きなキャラクターがガンガン動くような内容にはならず、全体的に小ぶりな印象を受けるものが多かったのである。

そこで、『ボナンザ ブラザーズ』は「高解像度だが平坦な画面になりがち」というシステム24の特性を逆手に取って、「レンダリングされたCG調の見た目」という発想を持ち込んだ。これならキャラクター数を最低限に抑えながら、解像度の高さを活かした映像表現ができるわけで、まさに「コロンブスの卵」的発想だったといえるだろう。

この手法によって生まれたキャラクターたちは、全体的にオモチャの人形のようなデザインでどこか抜けたような印象さえあり、非常にユーモラスな雰囲気が画面から漂ってくる。この全体から受けるグラフィックのセンスこそが本作の一番の特徴であり、最大の魅力といえるだろう。

本作のグラフィックのテイストは、その個性的な見た目が好評を博したことから『タントアール』(1993年)シリーズに受け継がれていくことになった。

▲当時のパンフレットより。裏はシステム24およびテーブル筐体の広告

今でも遊べる『ボナンザ ブラザーズ』

『ボナンザ ブラザーズ』は、ゲームシステムそのものはわりとオーソドックスながら、その見た目のキャッチさも相まって、世界中で多数の移植機会に恵まれた。

日本国内では当時の主力コンシューマー機種であったメガドライブやPCエンジンをはじめとして、メガドライブ版も後にSteamやWiiのバーチャルコンソールでも配信されている。

なかでも特筆すべきはシャープから発売されたX68000版で、アーケードの高解像度までほぼ完全に再現されている。特にこのゲームの魅力は、高解像度によるグラフィックにもあるだけに、機会があればぜひ見てほしい。

また、『タントアール』とカップリングされた『SEGA AGES 2500 シリーズ Vol.6 イチニのタントアールとボナンザブラザーズ。』がPS2向けに発売されており、PS2アーカイブスでも配信。手軽に遊ぶならばこちらもおすすめである。

ⒸSEGA

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