さあにん@山本直人の我が青春のテレビゲーム

  • 記事タイトル
    さあにん@山本直人の我が青春のテレビゲーム
  • 公開日
    2021年02月05日
  • 記事番号
    4701
  • ライター
    さあにん@山本直人

第八回:大切なことはみんな『パックマン』から学んだ
パックマン(ナムコ/1980年)

1979年、高校生になり、ますます趣味に没頭する私でありましたが、この頃はまだマンガ(読む、描く)とゲーム、そして簡易な同人誌の制作という感じでありました。
部活は「マンガ同好会」、会の先輩に誘われて入部した「演劇部」に所属しておりました。

文系のクラブ活動ですから、割く時間はあまり多くなく、学校が終わるとゲームが設置してある場所へと出向いておりました。

駄菓子屋に現れたモンスター

そして高2の春。私の前に現れたのが『パックマン』でありました。
場所は「第五回目」で書きました、ゲーム機が1台だけの駄菓子屋。『ギャラクシアン』が撤去され、代わりに入ったのが『パックマン』だったのであります。

『パックマン』といえば今でこそアーケードゲームの代表格と言えるタイトルでありますが、私の周囲では当初、そこまで人気があるというわけではありませんでした。
そのため駄菓子屋にあった1台は、私と友人の独占状態。
初プレイはパックマンのコントロール自体がうまくできず、撃沈。イジケモンスターを追いかけることに気を取られ、フルーツターゲットに目を奪われ……、ゲームルールを覚えるまで一苦労しておりました。

『パックマン』で目を引かれたのは、何といってもデモンストレーション画面のモンスター紹介。
赤、ピンク、青(水色)、オレンジの4色のモンスターを、その特徴と愛称で紹介するというヤツですな。

自分が体験した中ではこの「キャラクターの性格付け」を前面に出してきたのは『パックマン』が初めてでした。
ここまでに遊んだテレビゲームの中にも、キャラクターに特徴を付けているものは多くありましたが、それは攻撃方法だったり、速度だったり、大きさだったり。
何だか「機械的」な要素が見え隠れする、無機質な印象の物でした。

デモンストレーション画面でのキャラクター紹介。このニックネームを当時斬新に感じたのでした。
ⒸBANDAI NAMCO Entertainment Inc.
画期的だった「パワーエサ」。敵を食べることができるという逆転劇に興奮した。
ⒸBANDAI NAMCO Entertainment Inc.

4体のモンスターに「惚れる」

『パックマン』のモンスターからは、そういった「無機質」ものでなく、愛着の持てる「キャラクター性」を感じました。
画面で紹介されるとおり、プレイヤーである「パックマン」をどのように追いかけてくるかを、キャラクターに性格付けをすることで感じさせる。
それがまた、自分が愛着を感じるポイントでもありました。

当初はパワーエサやフルーツターゲットに翻弄されていたわけですが、慣れてくると、モンスターの動きの習性が見えてきます。
各モンスターにテリトリーがあること、追いかけるタイミングと、テリトリーに戻るタイミングがあること。テリトリーに戻った際のモンスターのコース取り……など。
フルーツターゲットの出現タイミングもおぼろげに理解できました。

その後『パックマン』は世界的大ヒットになって、攻略パターンも広まっていくのでありますが、私自身、どうしてもそういった「攻略パターン」を踏襲するプレイというのが苦手でありました。
『スペースインベーダー』も「名古屋撃ち」のプレイヤーを至るところで見かけるようになって、ほとんどプレイをしなくなった(まぁ、すぐにPART=IIが登場したので、そちらに乗り換えてプレイしていましたが)こともあります。

第七回」の『スペースチェイサー』で、テレビゲームのキャラクターに萌えたのでありますが、『パックマン』では、そのキャラクター付けに「惚れた」というのが当時の私です。
モンスターの習性、パワーエサでイジケる姿、食べられて目玉になり、ホームへ戻る姿などなど……。

「惚れた」理由は、機械を機械と感じさせない「キャラクター性」。
そんな生き物が存在するかのようなゲーム性に、まさしく惚れました。コーヒーブレイクの存在も斬新でした。

プレイヤーを誘惑する「フルーツターゲット」。「ギャラクシアン」のボス編隊といい、こうしたギミックでプレイヤーの心をくすぐるのはナムコの得意技。
ⒸBANDAI NAMCO Entertainment Inc.
2ステージ以降5、9、13、17ステージクリア時に挿入されるコーヒーブレイクムービー。このムービーとフルーツターゲットを見ることがゲームの目標でした。
ⒸBANDAI NAMCO Entertainment Inc.

『パックマン』の先に見えるもの

このときの『パックマン』との向き合いかたが、私のこの先につながっていきます。
パターンでなく、キャラクターの性格を見極める。
機械的なアルゴリズムでなく、その表現を感じる。
画面の先に隠れている、開発者を感じる。
……というイメージでしょうか。

おもしろいもので、1つがわかると、いろいろな物が見えてくるようになります。
製作者の「クセ」が感じられるようになってきます。
まだ、開発者が表に出てくる時代ではなかったですが、そう感じるようになり、メーカーの「クセ」がつかめるようになりました。雰囲気ではわかっていたものの、「メーカー」という存在が、さらに大きく自分の中で育っていったのであります。

そしてこれが、高校を卒業し「ぱふ」や「ファミマガ」に関わっていく私の基礎になっていったのであります。

開発者の「クセ」をつかむこと、これ、すなわち「紹介」や「攻略」であります。
アルゴリズムをはじめとする、さまざまな「クセ」が、テレビゲームの中には隠れています。
例えば「この人の作るダンジョンは、右方向に曲がるのが正解が多い」とか、「行き止まりのようなところにアイテムが隠れているが、本当の行き止まりはただの行き止まり」とか。

こうした見かたと楽しみかたを教えてくれたのが『パックマン』でありました。

「次はどんなコーヒーブレイクが見られるのかな」

「次のフルーツターゲットは何かな」
 こんなふうにワクワクしながら、ステージを進め、ゲームの奥を探っていく。
『パックマン』は、その後の私の礎となるタイトルとして、内容、デザイン、音楽、遊び心……、いろいろなものを刻んでくれたのであります。

だが、しかし。
フルーツターゲットの「ベル」のドット絵だけは認めん!
ホントにあれは正式な紹介があるまで、何だかわからなかったのでありました。

ⒸBANDAI NAMCO Entertainment Inc.

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